事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「サイコ」を読み解くPART4

2011-04-08 | 映画

Psychoimg05 PART3はこちら

ベイツ・モーテルのフロントには誰もいない。モーテルの裏側には不気味な一軒家が建っており、二階の窓に女性の影が見える。マリオンはクルマに戻り、クラクションを鳴らす。すると、館から背の高い青年が出てきてフロントに立つ。

「部屋はあいていますか?」

「ええ。12部屋ありますが、12部屋あいています」

気弱そうな、好青年。

「どうもありがとう、ベイツさん」

「ノーマンです。ノーマン・ベイツ。」

都会派のスマートボーイ、アンソニー・パーキンスをキャスティングしたのも妙味。美しいジャネット・リーを見つめて、彼は部屋の選択に少し迷い、結局はこう告げる。

「1号室をお取りしましょう。事務室のすぐ隣なんです」

L字型に折れ曲がって長いベイツ・モーテルと、ゴシック調の館の対比がすばらしい。わたしが同じ日に見た「幕末太陽傳」でも、相模屋という女郎屋の造形がみごとで、階段を上り下りするフランキー堺の躍動をうまく伝えていた。「サイコ」でも、ある人物がモーテルと一軒家を行き来する上下動が恐怖を倍加させている。

「夕食をお出ししましょう。よかったらわたしの家の方で食べませんか?たいしたものは出せませんが」

「……ええ、いただくわ」

モーテルで待つマリオンに、館での会話(というより女性の罵声)が聞こえてくる。

「女をこの家に連れてくるだって?!そんな下品なことは許しませんよ。ろうそくでムードを盛り上げるのかい?そして食事のあとは何をするんだい?お前が言えないんならあたしがその女に言ってやるっ!」

かの有名な『ノーマン・ベイツの母』登場。以下次号

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする