事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

庄内映画事情その19~「デンデラ」(2011 東映)

2011-07-09 | まち歩き

Denderaimg01 その18~「デンデラ」スタートはこちら

アラサーだのアラフォーだの、小さな差異でがたがた騒ぐな。女はね、70から。「デンデラ」は、新参者のカユ(浅丘ルリ子70才)が

「近ごろの若いババアときたら」

とあきれられる世界(笑)。

鶴岡まちなかキネマに入ってびっくり。なんでこんなにお客さんがいるの?平日の午後ですよ。他人のことはいえませんが。しかもR40指定ですかと思うくらいみんな高年齢。他人のことはいえません。さすが、地元で撮影された作品は強い。

浅丘ルリ子をはじめとした熟女たち以外にも、のっけから石橋凌の登場でびびる。あの旦那も鶴岡の飲み屋で渋くやってたのかしら。

さて、ご存じのようにこの作品は「楢山節考」へのアンサーソング。父親(今村昌平)の名作(かどうかは微妙だと思う)の設定を借りて、しかし息子(天願大介)がつくりあげたのは肌合いの違った映画だった。

姥捨ての“被害者”である女性たちは、生き延びて「男に搾取されない」「みんな平等に分け与えられる」デンデラという村をつくりあげている。そんな原始共産制の共同体を維持しながら、自分たちを捨てた村への復讐をリーダーのメイ(草笛光子100才)は企てる。しかしそれにはマサリ(倍賞美津子89才)をはじめとした“いくじなし”の異論があって……

うーん、なんか政治的・フェミニズム的ディスカッションドラマでちょっとしんどいかな。しかし人間の争いになど興味のない、ただ生きのびることが目的の(女性たちも最初はそうだったはずなのだが)絶対悪であるの登場から面白くなる。次々に屠られていくデンデラの住民たちの反撃は、意外なラストにつながって……。

浅丘ルリ子と山本陽子が連れ立って熊への復讐に向かう姿はまるで高倉健と池部良。セックスはよけいな要素だと、カユの亭主の存在についてまったく語られないのも計算済みだろう。わたしは徹底したアクション映画にしてくれた方がうれしかったんだけど、息子としてはそうもいかないか。

白川和子、山口美也子、赤座美代子など、いろんな意味でむかしお世話になったセクシー女優たちの熱演はうれしい。え、山口果林も出てたの?ってことは草笛光子との「繭子ひとり」コンビの数十年ぶりの共演じゃないか。みんなすごいメイクなのでよくわかりませんでした。

しかし、そのなかでも浅丘ルリ子の、50年以上“人に見つめられ続ける”女優という因果な職業をはってきた凄みに感服。雪の冷たさ痛さを知っている人なら、撮影の過酷さも想像できたはず。んもう暑さなんて吹っ飛びます。

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする