PART4はこちら。
東京の義兄に連絡をとると、杉本哲太は関西出張のあとに金沢に寄るという。彼はしかし、弟の失踪について驚くほど楽観している。
金沢の街は市長選の真っ最中。旧弊で封建的な城下町である金沢で、日本初の女性市長が誕生するかが問われる投票日が近づいていた。その女性候補者(黒田福美)を支援しているのが例の社長夫人(中谷美紀)。
地味な事務服で選挙事務所につめている女性支援者たちのなかで、輝度の激しい黒のスーツを着た彼女は、光り輝いている以上に明らかに浮いている。のちに説明される彼女の出自も計算に入れた上でのファッションだったかも。過剰に品がある、というか。
中谷は広末に協力を申し出る。西島はすばらしい人だったと。くどいようだがこの時点で観客は中谷、西島、広末の三角関係を疑っているので、ドラマはいよいよ動き出した。
夜の金沢で、広末は不思議なものを見る。一瞬、義兄をみかけたのだ。到着は翌日のはずなのに(実はそれ以前から杉本哲太がすでに金沢にいると想像できるシーンが挿入されている)。
ここで殺人事件が起こる。被害者はその義兄。彼は料亭の小部屋で毒殺されたのである。毒は、持ちこまれたウィスキーのなかに仕込まれていた。
義兄はその部屋で『赤いコートの女』(黒いスーツとの対照も計算どおりか)と会っており、仲居が逃走する彼女を目撃している。というより、目撃されることをその女はおそれていない。それはなぜか。
たたみかけるような殺人シーンの演出はみごとだ。
つづいて、もうひとつの殺人発生。以下次号。