現在進行形でキャラの行動を徹底して微細に描写する(それはたまにトリックでもあるのだが)長島マジック炸裂。どんなときも泣くことがないヒロインが、はたしてラストで……。
一見つっけんどんな対応しかできず、恋人との生活も起伏のないものになっている彼女について、長島はその性格に似あうように感情表現を排している。しかしだからこそボブ・マーリー、蛇、屋上など、盛大にヒントをばらまいているわけで、まるでミステリのように読めてしまう。
併録「センスなし」も、まさか聖飢魔Ⅱのデーモン木暮をシンボルに使って壊れた夫婦関係を描くとは……すんげー力技。あ、チカラ入ってないように見えますけどね。
泣かない女はいない (河出文庫) 価格:¥ 515(税込) 発売日:2007-10 |