PART4「ワンダー・ウーマンの悩み」はこちら。
「一番はホッとしています。毎朝、体の心配をしなくて良いんだなと思うと」
引退を表明した阪神の安藤のコメント。来る日も来る日も投げていた彼にとって、正直なところか。プロスポーツは、やはり過酷な世界であることを思い知らせてくれる。
「胴上げは勝者がするもの」
阪神の掛布二軍監督が、最後の試合終了時に選手の胴上げを断って。彼は阪神という球団から徹底的に冷遇されたんだけれど、誇りを持ってフィールドを去るあたり、さすがと思わせてくれる。なにより、彼ほど阪神ファンに愛された人もいないわけで、その意味では幸せな野球人生だったのではないだろうか。
「そうだ、僕にも小説が書けるかもしれない」
78年4月1日の開幕戦。ヤクルトVS広島。先頭打者のデイブ・ヒルトンがヒットを打ち、その瞬間に何の脈絡もなく観客席の村上春樹はこう思った。そのヒルトンも鬼籍に入った。67才。さみしい。
「打順は何番でもいっしょ。(報道陣の)みなさんもいつもと違うペンを渡されたからといって、原稿の内容は変わらないでしょう?」
9月20日の阪神戦で、3番バッターとして先制弾を打ったマギーがインタビューに答えて。クレバーな彼らしいコメント。日本のプロ野球人も、いつもこれくらい気の利いたコメントを発してくれるとうれしいんだが。
「どこに行っても楽しく野球をやるのは1度もなかった。」
きのうの相川の引退にあたってのコメント。プロ野球って、やっぱり厳しい世界なんだなあ。でも巨人とヤクルトの両軍からの祝福まであって、彼はやっぱりしあわせだ。
2017年10月号PART1「デッカードは例外」につづく。