事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

明細書を見ろ! 2017年10月号PART1 定年延長。の延長戦

2017-10-18 | 明細書を見ろ!(事務だより)

2017年9月号「定年延長。」はこちら

さて、週刊ポストにボロクソに言われた定年延長。これは、人事院勧告に引きずられて出てきたわけではなくて、あくまで政治マターです。

いやもちろん人事院勧告でもふれられてはいるんです。こんな具合↓

「本院としては、定年の引上げに向けて、平成23年の意見の申出以降の諸状況の変化も踏まえ、必要な検討を鋭意進めていく所存です」

(平成29年8月8日 人事院総裁談話)

どうやらそんなに急ぐつもりがないのが見え見え。しかし国家公務員の状況はこうです。

40代と50代の職員数は20代と30代の職員数の約2倍

・平成29年度の再任用職員数は、平成25年度から倍増(6864人→12634人)

・半数近い職員が、退職後の生活に不安をかかえている(半数以上は不安じゃないのかっ!)

・再任用者は、定年までの職位より下位の職に就いたり、短時間勤務なので士気や公務能率が低下するおそれがある

……つまりは、定年を延長しないとにっちもさっちもいかないというわけ。

これは公務員だけの話ではなくて、ニッポンという国の少子高齢化はしゃれにならない地点にまで来ていて、しかも世界でいちばん進んでいる。

「人類の実験室」

と揶揄されるほどに。まあ、この国は「少子高齢化」「北朝鮮」「エルニーニョ」のせいにすればたいがいの批判はかわせる風潮がありますが、これはまさしく現実。

となれば、生産年齢を上にシフトするのは当然のことでしょう。別に腹黒い官僚の悪だくみというわけではありません(と思う)。

もしもそれを否定するとすれば、

・経済のマイナス成長を覚悟する

・移民の受け入れを加速する

のいずれかを選ぶしかありません。近ごろかまびすしい「1億総活躍社会」というフレーズをよく考えると、どうやら外国人を受け入れる方向性はないようなので、残った

・女性

・障がい者

・高齢者

にひたすらがんばってもらおうということなのでしょう。定年延長はその一環なのだと……あ、なんとなくだんだん働く気がなくなってきた。

本日の一冊は「文庫解説ワンダーランド」齋藤美奈子 岩波新書

文庫本を読めば必ず(でもないか)ついてくる、巻末の解説を読み解く……このアイデアが抜群。大御所が書いていても、それが作品に何のプラスにもならない典型例として畏れ多くも小林秀雄をもってきたとは(笑)「坊っちゃん」の解説比較とか、鶴見俊輔が赤川次郎の大ファンだとか、すごく面白い。おすすめの本です。

PART2「速報人事委員会勧告2017」につづく

コメント
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