事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

たましいのふたりごとアゲイン

2017-10-07 | 本と雑誌

PART1はこちら

意外なふたりによる金言対談はつづく。

【失敗】

川上:失敗の価値が下がってきた気がしています。失敗しても、明日生きていかなければいけないから、特に落ちこんだりもせず、次行こ、次って感じですね。

穂村:場数が増えると、一回あたりの成功の重みも失敗の痛みも軽くなっていくよね。それは基本いいことだと思う。若いとき、失敗を恐れてなにもできなかった。やらなきゃいけないんだけど、やっぱり怖いっていう。戦績が0勝3敗とかって3回チャレンジして全敗ってことだから、次のチャレンジがすごく恐くなる。そこから0勝1000敗の可能性もあるわけだから。それがぼろぼろに場数を踏んで960勝1028敗とかになって、一勝も一敗も軽くなるのはいいことだと思う。

……言えてますよね。ちなみに、わたしは27才のときに32才の女性と結婚したんだけど、及び腰の彼女に、「これが91才と96才になったら誰も年の差なんて気にしないんじゃない?」と言ったのをおぼえています。これと同じことだよね。違うか。

【依存】

川上:日常的に人を頼るときって、そもそもどういう気持ちなのかが実感がないのでわからないんです。

穂村:なにかしようってときに、まずちょっと待ってみるわけ。

川上:なにかしなきゃいけないのがわかってるのに、なんでそこで待つんですか?面倒だから?

穂村:面倒だし誰かにやってもらったほうが楽だし……。

川上:えっ……(笑)。それをやることでなにか学べるとか自分の経験値が上がるという欲望はないんですか?

……この、埋めようがないギャップがこの対談のキモですかね。穂村ののび太くん体質については「野良猫を尊敬した日」につづきます

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青山文平でいこうPART6 「約定」 新潮社

2017-10-07 | 本と雑誌

PART5「つまをめとらば」はこちら

「半席」のオリジナルバージョンも所収の短編集。こちらには剣豪小説の味わいが深い作品が並ぶ。つまり、青山作品のなかではめずらしく普通の時代小説っぽい。

彼は江戸中期のお話しか書かないのだが、それは世が“成熟している”からだそうだ。成熟しているからこそ、人間のありようを描く甲斐があると。だからこそ、冷静な主人公と、彼を圧する強靱な女性というルーティンが活きてくるわけだ。

PART7「鬼はもとより」につづく

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