ローレンス・ブロックの、マット・スカダーものの新作が出てたなんて。まあ、純粋な新作長編というわけではなくて、中編の新作プラス短編傑作選といった体裁。ハヤカワから出ている短編集とのダブりもあり、単行本未収録だったものもある。とにかく読めてうれしい。
訳者解説によれば、ブロックはシリーズの途中からスカダーと自分の年齢をシンクロさせることにしたのだとか。ってことはもう80才。で、そんなおじいちゃんがあんなことやこんなことをやるのである。
それが不自然に感じられないのは、この長大なシリーズが、一度どん底に落ちた人間の回復の物語だからだろう。
もう数十年にわたってスカダーに付き合ってきたわたしにとって、ニューヨークとはスカダーがいる街だ。どうか少しでも長くこのシリーズをブロックには書き続けてほしい。ニューヨークの物語を紡いでほしい。"