その122「隠蔽捜査8 清明」はこちら。
横山秀夫のミステリを積極的に映像化しているWOWOW製作。事実上の横山のデビュー作である「ルパンの消息」を。
実は横山自身がこの原作が失敗作であることは広言していて、だから現在はリライトしたものが決定版になっている。
三億円事件の忠実な再現からスタート。視聴者にとっては、犯人の特徴的な声で誰が演じているかはまるわかり。でも捜査陣は犯人を挙げることはできず、事件は迷宮入り。担当していた捜査一課の溝呂木(上川隆也)は辞表を上司(長塚京三)に提出するが、所轄で頭を冷やしてこい、と慰留される。
時は流れ(溝呂木のネクタイの太さであらわすあたりはうまい)、警察に15年前に起きた高校教師の自殺事件は、実は他殺だったという通報が入り、異例なことに所轄の刑事である溝呂木が捜査の指揮を執ることになる。激高する本庁の刑事たち……
この、人事をめぐる男たちの右往左往は横山秀夫お得意のものだが、吹越満や津田寛治などのキャストが味があるのでそのあたりですでに楽しめます。彼らが壮絶に反目しあいながら、事件の真相に近づいていくが、同時に三億円事件との関連が……
ドラマの部分はかなり面白いんだけど、やはり肝心のミステリの部分はちょっと弱いかも。その偶然はあまりにも。
出演は他に岡田義徳、新井浩文、宮地真緒、羽田美智子、そして遠藤憲一。お気に入りの中村靖日があいかわらずいい感じ。
その124「暴虎の牙」につづく。