2013年版の、最高視聴率42.2%という狂騒から7年。ついにセカンドシーズン。わたしはあのドラマが嫌いではないけれど、見返すというのはしんどくないですか。こってりした演技と演出。男の嫉妬と陰謀がうずまく銀行という業界への志望者を半沢直樹は激減させたのではないでしょうか。
で、2020年版はどうだったか。
おんもしろかったああああ。
7年前の土下座がらみで東京中央銀行の子会社であるセントラル証券に出向を命ぜられた半沢は、しかし腐ることなく彼らしいやり方で仕事をこなしていた。自分たちは負け組だと感じていた部下たちは、そんな半沢を慕っている。しかし、常に銀行の意向を忖度する人間も存在していた……この、企業買収案件が第一部。
その功績で銀行に復帰した半沢が命ぜられたのは帝国航空(どう考えても日本航空)の再建。そこへ与党の政治家もからんで……が第二部。
どちらも面白かったです。で、2013年版と何が違っているかというと、敵の敵は味方、的な感じで天敵の大和田(香川照之)といやいやながら手を組んだり、悪役たちがお互いの足元をすくったりするような展開が、単なる勧善懲悪よりもずっと現実的。そのあたりの仕掛けがきちんとしているので、あとは役者たちの時代劇演技を楽しんでいればいい。
どんなに眉間にしわを寄せようとも、一種の透明感がある堺雅人を中心に、香川、市川猿之助、片岡愛之助、尾上松也の歌舞伎組が六方を踏めば(踏まないけど)、柄本明、古田新太、段田安則らの小劇場組は徹底的に悪相をつらぬく。
特にすばらしかったのが女優陣。幹事長の後ろ盾があって当選二期で大臣となった江口のりこ。実は不安でいつも目が泳いでいるあたりの演技はさーすが東京乾電池。あ、柄本明にさからえないのって実生活といっしょじゃん(笑)。
そして銀行員としての意地を見せる西田尚美もよかった。あー、シーズン3はつくられないのかな。っていうか7年も間があいたのって何で?