第9回「守るべきもの」はこちら。
視聴率が急降下したことで騒がれている大河だけれど、これは仕方ないですよね。裏があのWBCなんですから。
大谷の剛速球、吉田の強打、ヌートバー(この名前は最高だな、なんでだかわからないれども)の好守など、国別対抗であることで、むしろシンプルに野球を楽しめるような気がする。ええそうですとも、わたしは大河の時間帯に野球を見ていました。
というか、いつも6時からBSで見ているのでなんの影響もなし。
さて、今回はよく考えるとすごいお話。
母親がお妾さんをつくりなさいと息子に強要するのだ。そして本妻がその女性を選ぶと。
まあ、お殿様というのは跡取りをつくるのが大事なお仕事だとはいえ、なかなかにシュールな展開。
選ばれたのは侍女のお葉。演じているのは「鎌倉殿の13人」では頼家の妻役だった北香那。つまりは連投です。確かに魅力的。無愛想で笑わない彼女を、なぜ於大の方(松嶋菜々子)と瀬名(有村架純)が支持したか。彼女は他の侍女たちから、とても慕われていたのである。
で、古沢良太脚本はここで一歩踏み込んで、お葉が同性愛者であることをはっきりと告白させる。時代劇で、しかも保守的な視聴者が多い大河ドラマでここまでのことをやるのは勇気がいったはずだ。その勇気があるあたりを三谷幸喜は朝日の連載で激賞していたのだろう。
にしても天下の松本潤に
「殿に触れられるたびに吐きそうに……」
は笑える。
第11回「信玄との密約」につづく。