噂だけは聞いていたの。カルトな作品だと。しかし、どのようなストーリーで、なぜカルトとしてもてはやされているのかさっぱり。
話はいきなり変わるが、わたしはいま精神的に落ち込んでいる。もとからメンヘラなところにもってきて、面白くないことが続き、日々ため息をつきながら暮らしている。そんな人間にこの映画はどう映ったか。
第一次世界大戦末期のフランスの小さな街。敗勢が決定的になったドイツ軍は、時限爆弾をしかけ、街に入ってこようとしているイギリス軍ごと街を吹き飛ばす計画を立てる。レジスタンスの通報によってそのことを知ったイギリス軍は、若い伝書鳩係(!)を街に送りこみ、爆弾のありかを探らせる。しかし、住民が避難した街に残っていたのは、精神病患者と動物園の動物だけだった……
あ、なんかすごくシリアスな作品のように思えたかもしれないけれど、実ははっきりとコメディなんです。登場人物たちは(精神病患者だけでなく)みんなオフビートなやりとりをくり返してばかり。そして爆発の時刻は近づいている。
心がザワザワしました。こちらの精神も参ってしまいそう。なるほど、見るものをこれほど不安にさせる映画もめずらしい。カルト納得。戦争が一種の狂騒であることをあからさまにしています。
フランス本国で公開された当時、批評家たちからは酷評され(それもわかる)、興行もふるわなかったとか。しかしアメリカとカナダで評判となり、映画ファンのほとんどがその存在を知る名画になったわけだ。
ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドをはじめ、女優たちが異様に美しいことが、わたしを不安にさせた要因かも。なんだそれ。