第10回「側室をどうする!」はこちら。
国力を次第に上げていく家康。それは家康の功績ではないあたりがこの大河の特徴。なんとなく、そうなっている。
今回のテーマは“お団子”と“椿”。
男たちにとって、お団子はその勢力図の象徴だ。今川の領地を信長は切り取ってしまえと命じ、信玄は割譲を提案する。家康は強引に食わされる。
女たちにとってのお団子は、家康の妻である瀬名(有村架純)と、幼なじみである田鶴(関水渚……コンフィデンスマンのあの娘だ)の、今川家が安泰だった頃の象徴。
そして椿。他の花がないときに咲き誇るこの花の孤独を田鶴に仮託させる。
うちの奥さんは草月の人なんだけど、椿は
「寂しく活けるのがコツなの」
あーそうですか。寂しい花なんだ。
家康と信玄の邂逅。本当にこうだったはずはないですけど(笑)、そんなことを言ったら「天と地と」の上杉謙信との一騎討ちはありえるはずもないし、斎藤道三がそぉーっと(のちに婿になる)織田信長をのぞき見していたって話もどうもなあ。
信玄を演じている阿部寛がなんともいい。
わたしは彼が「笑っていいとも!」の“いい男さんいらっしゃい”というコーナーに出ていた時から見ているけれど、つかこうへいにしごかれて俳優として開眼した彼が、どうして大河で主演していないか不思議でならない。いろんな事情があったんでしょうけど、山内一豊や西郷隆盛のときは候補に上ったんじゃないのかな。
今回のもうひとつの凄みは、退場する寸前に家康に見せる秀吉(ムロツヨシ)の邪悪な顔。やってるやってる。
第12回「氏真」につづく。