大倉崇裕の最大の特徴は、とにかく小説のネタに徹底的に淫していることだと思う。動物にしても(いきもの係シリーズ)、怪獣(笑)にしても(「警視庁怪獣捜査官」「スーツアクター探偵の事件簿」は面白かった)対象への思い入れがすごい。
これは山岳に関しても言えることで、山登りが好きな大倉崇裕の本領が発揮されたのがこのミステリだ。山小屋にバイトに来た女性が遭遇する日常の謎が読ませる。短いなかでもきちんとオチをつけるあたり、さすがだなあ。
にしても、わたし山と渓谷社の本を読んだのって生まれて初めてです。山とは無縁の人生でしたから……