「GOTH」(乙一著。角川書店刊)を読んでまず頭に浮かんだのは「空飛ぶ馬」のことだった。共通しているのは、解決しない方がいい謎もある、という諦念や、日常に潜む悪意の掘り出し方とか。
でも扱う事件は正反対だ。人間の手首を収集したり、人を生き埋めにせずにはおれないなどの快楽殺人の連続。【不快系】ですな。なによりも『探偵がいちばん異常』という仕掛けが見事。日本版ハンニバル・レクターである。
鬱状態のなかでこんなものを読んだので、神経はだいじょうぶかと心配したが、読後、いっそさっぱりしたのには自分であきれた。まあ、ただひとり生き残るためにクラス全員が殺し合いをする「バトルロワイヤル」ごときに不快になったり、ネタバレになるので理由は言えないが、クリスティの「アクロイド殺し」に激怒するような人には、とても薦められる代物ではないのだが。
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