事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

明細書を見ろ! 07年9月号 「少しは旅費のことも考えてみる」

2007-09-22 | 明細書を見ろ!(事務だより)

Photo_1 さて、それでは恒例の給料日ごとにやってくる事務だよりを。
今回は来年の4月に改定になる旅費特集。思いのほか長くなってしまったので来月もやることに。

 今号では給料ではなく旅費のことを特集します。なぜなら、ほぼ10年ぶりとなる大改定がまもなくやってくるからです。

 いきなり昔話になりますが、それでは前回の大改定以前(平成9年度まで)の旅費がどうなっていたかというと、

・交通費はすべてJRや庄内交通などのバスを使った料金。
・片道8㎞以上(だったかなあ)あると『日当』がつき、これが管理職950円、一般職800円。『半日当』と言います。
・半日当があれば『全日当』もあるわけで、宿泊をともなったり遠距離だったりすると半日当の倍、管理職1900円、一般職1600円が一日あたり支払われました。
・8㎞なくても、その出張の所要時間によっては『1/3日当』というのが支払われました。冗談のようですがほんとうです。これが、管理職633円、一般職533円。

……さあ、以上の約束を酒田市宮野浦から酒田市酒田への出張に当てはめてみましょう。

9月21日、校長の旅行命令(お役所ことばでは、出張のことを旅行と言ったりします。なんだか楽しそうです)を受けたあなたは、午前9時に酒田市総合文化センターに自家用車を使って出張にでます。お昼をはさんで学校にもどったあなたに支払われる旅費は、バス代片道200円(御成町~宮野浦)×2+1/3日当533円=933円!
 現在の185円とのあまりの差にクラッときます。

 が。

 当時のウチの学校の職員がそんなにもらっていたかというと、そんなことは全然ありませんでした(と思う)。なぜなら、そんなペースで支給していたら配当された旅費が足りなくなってパンクしてしまうからです。

 わたしはそのころ中学校に勤務していましたが、中学校は特にその傾向が強く、いわゆる『正当旅費』を支給していたら夏休みあたりで旅費が底をついてしまいます。

 そのためにどんな手が使われたかというと、われわれ事務職員の業界では有名な『棄権承認』という裏技。これが意味するところは、【本来933円の旅費がかかったんですけど、学校の旅費配当も苦しいようですから酒田に出張しても200円しかいりません】として、支給額をむりくりに抑えこんで、職員からハンコを請求書に強引に押してもらっていたわけ。

 いやはやまことに申し訳なかった……というだけの話では実はありません。さっきの出張では、自家用車を使っているのにバス料金で精算するなど、どうも不自然なことばかり。

 どうしてこんなことになったかというと、当時は“自家用車を使って出張するなんて想定していなかった”から。まだ職員で自家用車を持っている人が圧倒的に少数で、出張には交通機関を使うのが当然だとされていた時代の規程がそのまんまだったのです(旅費規程を事実上さだめる知事部局には公用車があったことも影響したかも)。

Photo_2 それに、自家用車出張を行うためには服務を監督する市町村の教育委員会が許可しなければなりませんが、そのころの酒田市教育委員会は、というか県下のほとんどの教育委員会が自家用車出張を許可していませんでした。だから否応なしにバスや列車を使ったことにしたわけ。

 でも実際にはみんな自家用車を使っている。そのためにバス代精算の高額な旅費をもらえなくてもみんな苦笑いですませていた側面はあったでしょう(今でも事務職員を憎んでいる人がいるかもしれない)。

 さて、いくらなんでもこれらの不自然さを放っておくわけにもいかず、庄内では朝日村あたりから自家用車出張が認められ始め、酒田市を含む全市町村がそれにならいました。と同時に、片道8㎞なんて距離で日当が出るというのはいかがなものか、という批判が県議会をゆさぶり……あー終わらなかった。来月号につづきます。画像は○田さん絶讃「スキヤキ・ウェスタン・ジャンゴ」ご存じロケ地は鶴岡。地獄のような撮影だったらしい。

8月号はこちら。 10月号はこちら。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 公務員というお仕事 サンプ... | トップ | 路上のルール 第1条~ケンメリ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

明細書を見ろ!(事務だより)」カテゴリの最新記事