田舎に住んでいるものだから、家に鍵をかけるという習慣がなかった。不用心にもほどがあるけれども、三世代同居なのでたいがい、うちにはだれかいる。いなかったとしても、田舎だから村全体が相互監視しているようなものなので(笑)、よからぬ考えの持ち主が侵入すると目立って仕方がない側面もある。
しかし、うちの猫が外でケンカして大けがをしたこともあって、きちんと戸締りをすることになった。つまり、うちの場合は外からの侵入を防ぐよりも、内から外へ“出さない”ための施錠なのである。やれやれ。
3年ぶりのリンカーン・ライム。今回の犯人は開錠の天才。
その天才は、ねらった住居に侵入し、ほとんどなにもせずに施錠していく。彼がなぜそんなテクニックを身につけたかは、うちの猫と同じような理由だったので笑える。
ディーヴァーらしいミスディレクションの連続。コルター・ショウのシリーズとはレベルが違う。終盤のどんでん返しの連続には、さすがにやりすぎじゃないかと思いましたが。
ディーヴァーらしさがもうひとつ。徹底した取材によって“鍵”というものの歴史やコンセプトが惜しみなく開陳され、読者を満足させてくれます。サックスとライム夫婦の会話も絶好調。娯楽小説とはこれだ。
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