その4はこちら。
「2007年のことでした。NHKの偉い人が会いたいと。で、
『福田さん、2010年はあいてますか』
『はい?』
『大河ドラマを、書いていただきたいんですが』
……びっくりしましたねえ。実はわたし、NHKではほとんど書いたことがなくて。でも、脚本家としてこれを断るという選択肢はないわけですよね。それはわかってたんです。ただねえ」
大河ドラマを、なんと彼は見たことがなかったのだという。
「福田家はですね、まあ普通の会社員の父親とヤクルトおばさんの母親なんですけど、日曜の夜に大河ドラマを見るという習慣がなかったんですよ。だから当然息子としても見ない。だけどね、母親が朝ドラが大好きだったんです。で、渋谷のNHKを出たときに、こりゃ、親に報告するべきなんじゃないかと。で、駐車場から電話したんですよ。大河ドラマを書くことになったよって。そしたら母親は
『朝ドラのほうがよかったなー』
って(笑)。いやいや、あとからは喜んでくれたんですよ。でも第一声がそれでした。」
問題は、誰を題材にするかだ。
「で、そのお偉いさんがですね、A4判の紙を一枚わたしてくれたんですよ。それには歴史上の人物が25人ぐらいズラーッと書いてあるんです。
『これは……なんですか?』
『これまで、大河ドラマで採りあげたことのない人物の一覧表です。このなかから選んでいただきます。ご存じの人物はいますか』
と質問されまして、一番上に書いてあるのが卑弥呼(笑)、彼女はむずかしいでしょう。だいたい、何をしている人なのかよくわからない。一日中祈ってたのか、とか。で、その下がなんとか麻呂で、よく知らない。下まで眺めても、あとは知っている人物はひとりだけなんです。それが……平清盛でした(笑)」
場内大うけである。ま、いろいろあるよね。あの人もこの一覧表を渡されたのであろう。
「で、帰ってから清盛についていろいろと調べてはみたんです。でも、どうものらないんですよ。だいたいイメージがタコ入道だしねえ」
「そんなところへ訪ねてきたのが、同じ2010年大河ドラマを制作することになった鈴木(圭)プロデューサーと大友(啓史)ディレクターだったんです」
おお、るろうに剣心の監督がついに登場。以下次号。
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