前に庄内弁講座を特集したとき、わたしの地元のなまりは簡単に消え失せてしまうと結論づけた。おかげで、東京にいる息子と、横浜に行った娘は言葉で苦労することはあるまい。だいたい、妻は北海道出身だし、うちの中で庄内弁で会話するのはわたしとオヤジとの間だけなんだから。
……甘かった。この「とっさの方言」を読んで、どんなになまりと無縁だと思っていても、東京人も含めてやはり方言からは逃れられないのだと思い知った。
というのも、わたしたちが使う「共通語」「標準語」(このふたつの違いまで突っ込むと長くなるのでやめます)とは、井上ひさしの「國語元年」でわかるように、あくまで東京の山の手の言葉をベースにした方言の一種であり、である以上、他の地方の事物、感情をすべて網羅することは最初から想定していない。
だから、どんなに言葉が平準化されたとしても、なお方言は生き残るだろうし、それどころか新たな方言が生まれる可能性だってある。
息子よ娘よ、お前たちもいまきっと苦労していることと思う。がんばれ。
ということでわたしもびっくりした各地の方言をいくつか。
◇茨城
犬や猫のことを「犬め」「猫め」と呼ぶ。さげすんでいるのではなく、愛称。
……とても誤解をうけやすい方言です。会話の途中に「猫め」と入ればわたしだって茨城県人のことをなんて奴らだと思う。でも、どうやら話し手は「猫ちゃん」程度のニュアンスで語っているんですって。
◇栃木
同居している祖父母のことを「おじちゃん、おばちゃん」と呼ぶ。おじいちゃんおばあちゃんは身内ではない高齢者一般のこと。
……信じられますか。いやはやU字工事だってこんなこと教えてくれなかった。変わってるなあ栃木。ホームドラマを見ていて不思議に思わなかったんだろうか。以下次号。
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