パラグライダーの事故で首から下の自由を失った富豪と、彼を介護する貧乏で無作法な黒人青年。泣かせようと思えばいくらでもできそうだけれどそうはならない。
障がい者や人種差別をネタにきついジョークがゆきかうけれど、それが目的のコメディにもなっていない。お互いに友情を感じながら、決して依存し合わない節度が気持ちいい。
これが、ハリウッドや日本でリメイクされるとしたらどうだろう(実際、アメリカでは再映画化が決定したらしい)。キャスティングは簡単だ。富豪役はダスティン・ホフマンでしょ?なにしろオリジナルのフランソワ・クリュゼとそっくりですし。介護士はエディ・マーフィ。あまりにも年齢が高すぎますか(笑)。日本だと長瀬智也と佐藤浩市で決まり。
で、ハリウッドなら富豪が介護士の家庭の苦境をその財力をつかって(しかもこしゃくな手段で)解決するだろう。日本なら富豪の妻の死や、介護士の母との和解を思い切りうたいあげてお涙ちょうだいを狙うはず。フランス映画はそこを寸止め。さすがだ。
芸術を愛し、クラシックに造詣の深い富豪の前で、アース・ウィンド&ファイヤーの「ブギー・ワンダーランド」を介護士が踊る場面や、髭を剃るときに
「のどをかき切ってくれ」
と富豪がつぶやくシーンなどに、ハリウッド映画や日本映画に慣れた観客はどきりとする。しかしこの映画はラストシーンもふくめてさらりと流していく。
そんなあっさりした映画が、今週末でもう14億円もかせいでいる。東京国際映画祭グランプリという冠があったとしても(かえってアート系かと敬遠される危険性すらあった)、この大ヒットはどうしたことだろう。このペースだと「ダークナイト・ライジング」を抜いちゃうんじゃ。
ジョージ・ウィンストンかと思えるようなピアノ曲が基調音として流れ、観客は気持ちよく映画館を出ることができる。体調が悪かったわたしもすっかり元気になることができました。あ、大ヒットはこの現世利益のおかげかっ!
思いのほか娯楽色が強くて、そのあたりもバランス感覚ありあり。
やっぱりオトナの国だなあ。
だから原発やめろよ(^o^)
ジェイミー・フォックスだと、さらっとした感じになりそうです。
うまいですよね、さすがおフランス。
粘っこくないのに、浅いのでもない。
私は、パーティのシーンで、涙が止まりませんでした。
今年はフランス映画の当たり年で、とっても嬉しいです。
「キリマンジャロの雪」ってのもとっても素晴らしかったです。
夫婦で見るのにこれほど最適な映画もめずらしい。
あ、かえって照れちゃうか。
わたしが銀婚に照れているのといっしょだ。違うか。違うな。
まちキネは11/24~。でおちびのみ別件で
12/2妻と観に行くかもしれません。
ひ、久し振りの、ふ、二人なので若干照れが…
日米版のキャスティング、中々ですね(^^)