早暁。マサチューセッツ州郊外の大邸宅。疾走する2頭の犬。邸内では使用人が邸宅の主である老推理作家に朝食を運ぶ。入り組んだ経路。作家は自ら頸動脈を切って事切れていた……
単純な自殺に思われた。その理由は
・血しぶきは“完全な”形だった
・前夜に作家の誕生パーティが行われていたが、全員にアリバイがあった
・外部からの侵入者は(豪邸なのに階段の音がひびくなどして)ありえなかった
しかしそこへ名探偵が乗り込んできて……
いやはやゾクゾクしますね。ミステリ好きとしては見逃せません。実はずっと前に山形で封切られたときに、これだけを観に行こうと思ったぐらい。断念したけど。
最初に出てくる犬の存在や、セリフのひとつひとつにヒントがしこんであって周到。この脚本は完全にオリジナル。「最後のジェダイ」でSWファンから壮絶に批判をあびたライアン・ジョンソンが書き上げたもの。
「LOOPER」もそうだったように、ミステリマニアなのでしょう。嘘をつくと吐いてしまう容疑者、という設定はお好きなかたでないと(笑)
さしてミステリ好きでもない妻といっしょに観て、ふたりとも満足しました。
「これってスティングじゃない?」
「うん、肌合いがね」
あの映画は章立てされていて、最終章がSTING。高瀬鎮夫さんの名訳でこう表現されていました。
「最後に、グッサリ」
チクッとさすSTINGをこう訳すあたりが技。
となれば、この映画のタイトルKnives Outもこう訳すべきでは?
「ナイフがいっぱい」
ナイフをめぐるセリフに大ヒント。あ、ちょっとネタバレ。
メジャーな会社が金を出したわけでもないのにダニエル・クレイグ、クリストファー・プラマー、ジェイミー・リー・カーティス、トニ・コレット、そして「IT」の少年など名優が集まったのは脚本の面白さのおかげでしょう。満足。
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