舞ちゃん篇はこちら。
B級映画の帝王として知られ、自伝のタイトル「私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか」を地で行った人だ。彼の監督作品をわたしは1本も観ていないが、ロジャー・コーマンが高名なのは、多くの映画人を育てたからだ。
ジャック・ニコルソン、デニス・ホッパー、フランシス・フォード・コッポラ、マーティン・スコセッシ、そしてスティーブン・スピルバーグなど、70年代以降のハリウッドを支えた若者たちに映画製作の“現場”を与え、早く、安くつくるコツを伝授したのだ。
現代で、その教えを最も忠実に守っているのがスティーブン・スピルバーグだろう。彼は早撮りで知られ、予算を余らせることでも有名だ。師匠のドン・シーゲルの薫陶を受けて、ほとんどファーストテイクを採用するクリント・イーストウッドとともに、その職人技は際立っている。
映画は確かに総合芸術だけど、それだけに商売の側面は無視できない。だからコーマンは亡くなったけれども“コーマンのやり方”は、弟子たちによって脈々と生き続ける。
唐十郎篇につづく。
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