事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

THE LAST SAMURAI その3

2008-01-31 | 洋画

Sanada またしても前号繰越

 この映画の時代背景は、士族の反乱が相次いだ明治初頭。渡辺謙演ずる勝元は、維新の原動力となりながらも廃刀令をはじめとした新政府の方針に異を唱え、ために反乱に追い込まれるサムライ……どう考えてもこれは西郷隆盛。反乱は西南戦争。では敵役の近代化擁護論者の大村は誰かと考えれば、そりゃ大久保利通だろう。実際には勝元は「西郷+山岡鉄舟」、大村は「大久保+岩倉具視+木戸孝允(桂小五郎ですな)+岩崎弥太郎(三菱の創始者)」がもとになっているらしい。ついでに言えば明治天皇役の中村七之助は、どう見ても昭和天皇に様子がそっくりである。

 言ってしまえばこのムチャクチャな設定を、しかし何とかまとめたのは二人の日本人だと思う。一人は大村を演じた原田眞人。映画監督として、大好きな「バウンスKoGALS」や「金融腐食列島【呪縛】」などで日本映画らしくないタッチを見せてくれた彼は、前にも告白したように、わたしが誰よりも信用する映画評論家でもあった。「いったいどうやったらこんなに面白く書けるんだ」とまで言われた男である。その彼が、わざわざヘタくそに英語をしゃべり、初めての演技を無難にこなした以上に、ハリウッドにキチンと真田広之(今回も健闘!)などといっしょにもの申してくれたらしい。司馬遼太郎を映画化したいと考えている原田だから、今回のキャスティングはうれしかったに違いない。

Koyuki  そしてもう一人。日本側のキャスティングにあたった奈良橋陽子(ゴダイゴの「ガンダーラ」とか作詞した人ね)。どんなメディアにも出てこないので彼女が今回どんな役割だったか判然としないけれど、斬られ役一筋40数年の福本清三をいちばん泣ける役(たった一言セリフあり。これがまた泣かせる)に押し込むなど、やるもんだ。子役も自然な演技だし(これも驚異)、誰よりもヒロインに小雪を選んでくれただけであたしゃ十分だ。わざわざ気を使わせちゃったなあ(笑)。明治天皇の大口上でドラマをしめくくったり、田原坂をニュージーランドで撮影するという強引さも、だからわたしは許すのである。必見の映画。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« THE LAST SAMURAI その2 | トップ | 燃費 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

洋画」カテゴリの最新記事