「幻の脚本」はこちら。
幻の企画、といえば三島由紀夫。夫人を中心とした遺族が映画化を徹底して拒否したものだから、多くの企画がつぶれ、ポール・シュレイダーの「MISHIMA」は日本公開すらされなかった(のちにビデオで観たら、緒形拳扮する三島の決起がクールに描かれていてなかなか)。それがなんと…
(「春の雪」)この華麗なるメロドラマは、1970年代よりしばしば舞台で演じられてきたが、これまで一度もスクリーンに掛けられることがなかった。フランシス・コッポラをはじめとする、世界の名だたる監督が名乗りをあげたが、そのたびに版権管理者に拒絶されてきた。文化大革命のさなかに『金閣寺』の翻訳を隠れ読んだという体験をもつ陳凱歌は、舞台を辛亥革命に移して映画化したいと強い抱負を抱いていたが、彼もまたにべもなく追い返された。
……でもなぜか新人監督の行定勲(「世界の中心で、愛をさけぶ」)がいとも簡単に(そのように見える)東宝で映画化されることになったのは確かに不可思議だ。コッポラはともかく、陳凱歌の「金閣寺」も観たかったなあ。生前のレスリー・チャンとコン・リーのコンビで実現していたら、ハリウッドで不調だった陳の来歴は、だいぶ違ったものになっていたのではないか?
次回は「三浦くんのお母さん」。
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