第33回「裏切り者」はこちら。
タイトルはおそらく吉川英治の「牢獄の花嫁」を意識しているんだと思います。確か70年代に、市川崑監督で映画化されそうだったのに実現しませんでした。
え、キャストが山口百恵と三浦友和、そして三船敏郎が予定されていたの?見たかったなあ。まあ、当時の百恵の殺人的スケジュールでは三船との共演は実現できるはずもなかったか。
今回は石川数正(松重豊)出奔の謎解き。徳川家のみんなが石川のことを泣きながら
「あほたわけ!」
と愚弄し、それが彼への追慕になっている仕掛け。石川数正もまた、妻(木村多江)に
「あほたわけ」
とつぶやいて感謝する構図。うまいものだ。
自らが豊臣に走ることによって、石川数正はむしろ徳川家を救うことを企図していた……これまたうまい理由づけだとは思うんですけど、ちょっと考えこむ。
天正地震という存在は誰も予想できなかったはずで、だから石川の行動があろうとなかろうと秀吉(ムロツヨシ)は家康を圧倒しに来たのではないかとも。微妙ですけどね。
しかし何らかの意図をもって秀吉は家康をどうしても上洛させるために、妹と母親まで人質に差し出す。すごい覚悟、あるいは深謀遠慮。はさみ将棋でいえば、家康を木下家がはさんだ状態。
そして妹を演じたのがなんと山田真歩!「サイタマノラッパー2」のあのお姉ちゃんですよ、「花子とアン」のあの女流作家ですよ、そしてあの「シャーロック」で佐々木蔵之介を食いまくっていた彼女です!
彼女でなければ、無理に場を明るくして自らの不幸を隠すという難役はなかなか。大河はキャスティングで冒険するのが常だけど、ムロツヨシと山田真歩が兄妹という設定はさすがにすごい。
ところで、来週はなんで大河はオンエアされないの?え、ラグビーかあ。あの大騒ぎだった前回のワールドカップを一度も見ていない人間としては……いえなんでもないです。
第35回「欲望の怪物」につづく。
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