第17話「赤か、青か」はこちら。
「物をよく無くす人います。しかしどうか癇癪を起こす前に、もう一回自分のまわりをよく探してみてください。メガネを無くして困っているお父さん、もう一回おでこにかかってないか調べてみてください。コンタクトを無くしたお姉さん、目の隅にずれてないか確認してみてください。入れ歯を無くしたおじいさん、口の中に落ちてないかもう一回調べてみてください。そう、探し物は大抵あなたのすぐ目の前にあるもんです。えー、意外な所に。」
……古畑が語りかけるアバンタイトルは、視聴者にヒントを提供している。今回の謎はただひとつ、凶器は何か、だ。
“目の前にいつもありながら”
“なぜか見逃してしまう”
“力のない人間にも簡単に扱える”
殴殺の道具とはなんだったのか。古畑は視聴者へのサービスとして
「わたしがしているネクタイの色はなんですか?」
という謎かけまで。古畑は常にノーネクタイだというひっかけなのだが。
今回の犯人は加藤治子が演じる売れっ子脚本家。殺したのは金にうるさいマネージャーでもある妹(絵沢萌子)。おばあちゃん二人の丁々発止のやり取りは笑えます。二人とも妙に艶めかしい役者なので特に。
「海辺の邸宅における老婆がからんだ殺人事件」というパターンは、イギリスのミステリによくある。しかも犯人がひたすら陽気であるあたりもイギリスっぽい。加藤治子は、微塵も殺人を後悔しないのである(「だってぇ、思いついちゃったんですもん」)。
もっとも、事件にからむのがカツオ節(これもヒントになっている)であるあたりはコテコテの和風ですけど。
同業者である脚本家を犯人にしたことで、三谷幸喜はこれでもかと楽屋オチをしこんでいる。
桃井かおりからお見舞いの電話があったり、吉永小百合、石黒賢、小堺一機などからお花が届いたり(もちろん織田裕二からは来ない)。
とどめは、彼女の代表作が「木下恵介アワー」だったことだ。わたしの世代には爆笑である。
「おやじ太鼓」とか「三人家族」が有名だったんだけど、わたしは津島恵子やあおい輝彦が主演した「兄弟」(昭和45年ころ)が好きで好きで。脚本は山田太一でした。
で、結局その凶器はなんだったかですって?タイトルをよーく読むとわかる仕組みになっていますよ。
第19話「VSクイズ王」につづく。
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