さて、教職調整額が時間外勤務手当ではない、と考える根拠は、管理職手当と比較するとよくわかると思います。
1.管理職手当は月の初日から末日まで勤務しなかった場合支給されないが、教職調整額は支給される。つまり勤務の有無に左右されない。
2.同じ意味で教職調整額は有給休職者の給与の算出基礎にもなっている。
3.管理職手当受給者には時間外勤務手当、休日勤務手当、夜間勤務手当は支給できないと明確に規定されているが、教職調整額受給者にそんな規定はない。
4.その管理職手当を受給している3級在職者(つまり教頭)にも、実は3級加算額という教職調整額が支給されている。
5.期末勤勉手当、退職手当(!)の算出基礎にもなっている。
……事務職員のくせに久しぶりに条例をひっくり返してみたので頭が痛くなりましたが、要するに教職調整額とはすでに給料の一部なのです。
前号で「給料月額」と「給料の月額」は意味が違うと書きました。給料月額とは給料表に載っている額そのものですが、給料の月額、とはこれに調整額を加えたものを意味します。そういえば事務職員は新採研修の時点から「給料」と「教職調整額」とは不可分のものであることを叩きこまれていたのでした。
さて、教育職員に時間外勤務手当が支給されていないことがわかったところで、では支給されていたとしたらどの程度なのか、をシミュレーションしてみます。
前号でご登場いただいた2級19号給の人でまた考えてみましょう。この人の時給が2,196円であることは計算済みですが、それでは時間外に勤務が及んだとき、1時間当たりこの額が支給されるべきなのでしょうか。
違います。
これもバイトの経験がある人ならおわかりでしょうが、8時間の勤務を超えて時間外勤務を命ぜられた場合、その時給に
(午前5時から午後10時までなら)×1.25
(午後10時から午前5時までなら)×1.5
こんな具合に乗じた額が支給されなければならないのです。
ですから、時給2,196円の場合、一般的な時間外勤務手当の単価は
2,196円×1.25=2,745円
私は中学校から小学校に転勤したのでどちらの教員たちの現状も見ていますが、いずれもおそらく始業前の勤務も加えれば、少なくとも週4時間は時間外がある、とふんでいます。ですから月にするとおよそ18時間。算出すると
2,745円/時間×18時間=49,410円。
約5万円ほどになります。
教育職員に時間外勤務手当が支給されうると仮定すれば、現在はこれだけの額のサービス残業を続けている、と考えることもできます。しかも、あくまで少なく見積もってです。
もちろんこれは一種の暴論です。しかし何気なく勤務時間を考えないで勤務し続ける人もいるようですが、冷静に自分の労働の対価を考えたとき、そのことに意識的であることによって変わってくる“何か”があるのではないでしょうか。前号で時給の算出方法を載せましたが、あの式で言えば、長時間勤務すればするほど、分母の値が大きくなっていく→時給が下がっていくのです。
話はこれだけにとどまりません。学校という職場に特有の“休日勤務”を考察すると、【特有】なのではなく【異様】な姿が浮かび上がってきます。
またしても、次葉繰越。
画像は「カッコーの巣の上で」ONE FLEW OVER THE CUCKOO'S NEST(’75 米)
ほぼ三十年ぶりに再見。予想以上に前半に退屈する。俳優たるもの、この脚本に燃えないはずはないだろうが、ジャック・ニコルソンはむしろいつものニコルソン。バック・トゥ・ザ・フューチャーの博士とか、ダニー・デヴィートとか、意外な面々が精神病患者として出演していてびっくり。
オスカーをとったルイーズ・フレッチャーって、両親ともに聾唖だったとか☆☆☆★
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