リメイク発表時にわたしはこう考えていた。
黒澤明名作リメイク:「新・三十郎」で豊川悦司が敵役
黒澤明監督、三船敏郎主演の傑作時代劇映画を45年ぶりにリメイクする「椿三十郎」の製作報告会見が12日、東京・成城の東宝スタジオで行われ、主要キャストが顔をそろえた。織田裕二(38)が演じる主人公の宿敵・室戸半兵衛には、豊川悦司(44)が起用された。オリジナル版では仲代達矢(73)が演じた役どころで、豊川は「仲代さんとは違う半兵衛にしたい」と闘志を燃やした。
凄腕の浪人・三十郎が、上役の汚職を暴こうと立ち上がった9人の若い侍たちに助太刀するアクション。演出で手を加える場面はあるが、オリジナルのシナリオに忠実に描く。主演の織田は「45年前の台本だけど、(本質は)連日のように報道されているいじめや汚職の内容とまったく同じ。今、三十郎のような、困っている人や弱い人を放っておけない男と出会えてよかった。今だからこそリメイクする意味がある」と強調した。
三十郎と半兵衛が一騎打ちに臨み、血しぶきを上げるクライマックスシーンは現在でも語り継がれる名場面。森田監督は「演出はまったく違うものにしようと思っている」と明かした。ほかに松山ケンイチ(21)らが出演する。来年12月公開。 スポーツニッポン 2006年11月13日
なんという無謀な企画。こんなバカを仕掛けたのは業界の暴れん坊角川春樹。オリジナルは日本娯楽映画の最高峰だとわたしは信じているので(「七人の侍」は大作であって娯楽作とはちょっと意味合いが違う)、それを森田芳光がどう料理するか。どうころんでも批判を浴びることは確実。しかし、だからこそ応援しよう。木っ端微塵になったところで、オリジナルの素晴らしさをみんなが再認識するだけでも意義はある。
モノクロのくせに、椿の色をストーリーの核にすえたものだからカラー映画のようにいつも誤解できる周到な脚本。三船敏郎が“世界のミフネ”であることが納得できる立ち姿のみごとさ。最後の最後に出てくる城代家老の“あの人”(リメイク版は藤田まこと……納得のキャスティング。顔が長くないといけないから)に代表される、余裕すら感じられるユーモアの質。黒澤映画のすべてをわたしは支持するわけではないけれど、彼のこの映画を超える作品は、あと百年は生まれないと思う。少なくとも松山ケンイチだけでもオリジナルの加山雄三を超えてくれないか、ちょっと期待しているけどね。
これが満点でなくてなにが五つ星か☆☆☆☆☆
次回はリメイク版を特集。
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