2020年12月号PART9「うどん」はこちら。それにしてもこのタイトルで曲がリッキー・リー・ジョーンズって(笑)
「ほぼ日刊イトイ新聞」における石橋貴明と糸井重里の対談は読みごたえがあった。石橋があんなにクレバーに自己分析をしているとは、と失礼ながら驚いた。
石橋:ぼくはずーっと「勢いだけだな」と言われますが、憲武はほんとうに、何やっても上手にできるやつなんです。器用だし、歌もうまい。例えばコケるときの体の使い方も堺正章さんの次くらいにうまいですよ。
タモリさんが小っちゃなバーで赤塚不二夫さんたちの前でやっていたのが密室芸だというのなら、ぼくと(木梨)憲武がやっていたのは、サッカー部と野球部の部室でやってた部室芸。大人にはまったく、何やってんだかわからない。だけど、同世代にはバカウケなんです。
……そうは言うけれども、彼らにとんねるずという名を与えたのは名プロデューサー井原高忠さんだし、それに……
石橋:昔、作家の小林信彦さんが書いてくれたことがあるんです。それはぼくが23ぐらいの頃の、生放送についてのコラムでした。
新宿アルタ前からの中継で、春先で、小雨がバァーっと降っていました。アルタの前にはお客さんがギューギューづめで待っている。そこでぼくが出ていっていつものように「おらぁ、お前ら!」と煽る。お客さんはウワーッとなって、おしくらまんじゅう状態になっていく。そんな感じで30分。みんなの肩に雨があたって、湯気がバァーと立ちあがりました。まるでスモークマシンで煙を出しているかのようでした。画面も変に白くなっちゃってる。それに向かってぼくが
「てめぇら、湯気出すんじゃねぇよ!」
と、叫んだ。
糸井:わはははは。
石橋:それを見た小林信彦さんが「とんねるずはおもしろい」と書いてくれた。「湯気出すんじゃねぇよ」がよかった、と。
……小林信彦も彼らを認めていた。そして糸井重里も。わかっている人はわかっているのである。
とんねるずについてはネガティブな評価をするのがトレンドのようだけれど、わたしは彼らこそがコメディアンであると同時にロックスターだった初の存在だと思っている。
妙にうまい現在の芸人で、テレビカメラを倒して壊してしまうなんて芸(じゃなかったわけだがw)を見せてはくれないもんな。彼らのおかげで、どれだけ笑わせてもらったか。
PART2「ふぅじこちゃぁん」につづく。
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