車寅次郎はいつも旅をしている印象だけど、初期作品においてはそうでもなかったことをこの書で初めて知る。もちろん、テキヤ稼業なのだから旅は必須なのだが、映画で描かれるのは葛飾柴又だったと。
なるほど。
わたしがこのシリーズをリアルタイムで見るようになったのは第17作「寅次郎夕焼け小焼け」から。
もちろん彼はさまざまな土地に行き、さまざまな女性とかかわりあい、あるときはふられ、あるときは気弱に去って行く。川本三郎さんが感じ入っているのは、ロケ地の選択が絶妙だということ。きっと山田洋次を中心としたスタッフは、ある時点から日本から消えゆく風景を残したいと考えたのではないかと川本さんは想像し、結果としてまさしくそうなっている。
絶賛されているのは第16作「葛飾立志篇」における寒河江。川本さんは実際に訪れ「ここに住みたい」とすら思ったという。山形県人として、うれしい。
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