初代タイガーマスク 必殺技紹介
PART1はこちら。
タイガーマスクの登場は衝撃的だった。原作者の梶原一騎のリクエストがあったとはいえ、まず入場するときにトップロープに立つのだ。マンガじゃないんだから。んもう生半可な運動神経ではないことをここで観客に印象付ける。
そして技がまたすごかった。ローリングソバット、サマーソルトキックなどのメキシコ流の空中技や、体重が軽そうなのにローキックはかなり効いているように“見えた”。
特に驚かされたのは、マット上で助走をつけ、場外にいる敵にそのまま身体をぶつけるプランチャー。なんだこりゃあ!と思いましたもの。
タイガーの人気はもちろん爆発。しかし、マスクをかぶってタイガーを演じていた佐山聡の気持ちは晴れない。華麗なプロレス技を駆使しながら、新日本プロレスの興行におおいに寄与しながら、佐山はガチのファイト、スポーツとしての格闘技を志向していたのだ。だから勝敗が決まっているプロレスから心が離れていく……
もちろん、どれだけ稼ごうがアントニオ猪木の副業の赤字補填に金が消えていく状況への怒りもあっただろう。彼はいきなり引退する。初代タイガーマスクとしての活動期間はわずか2年4ヶ月間だった。
そして1984年。佐山はUWFに参戦する。そこには、前田日明、藤原喜明、高田延彦らが待っていた。
この書において、柳澤さんは例によってプロレスはストーリーのある興行だと主張し、そこからはみだそうとした佐山を称揚している。可能性を秘めていた前田日明や藤原喜明が結局はプロレスの人であると結論付けているので、発行されたときは賞賛と罵倒の嵐だったらしい。
わたしがどう考えたかと言うと、確かにサブミッション(関節技)中心のUWFの本気度は高かったかもしれない。しかしわたしの頭の中には、初代タイガーマスクのローリングソバットの切れ味がまだ残っているのだ。
最も華麗なプロレス技を見せた男がプロレスを否定した苦みこそ、この書の眼目でしょう。
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