事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

刑事コロンボを全部観る~Vol.39「黄金のバックル」

2011-10-20 | テレビ番組

Oldfashionedmurderimg01 PART38「ルーサン警部の犯罪」はこちら

ある女性のプライドの物語。彼女は生涯においてただひとり愛した男を姉にとられ、その姉はいまも亡くなった彼との間にできた娘と無邪気にすごしている。原題はOld Fashioned Murder(古風な殺人)。

一族に遺された博物館が彼女の唯一の生きがい。赤字続きのために弟は閉鎖を考えており、ために彼女は弟を射殺する。トリックとして、姪が連れてきただらしない警備員を犯人に仕立て上げたのだが、彼女には本当に下衆(げす)な人間の考えることが理解できず、コロンボに矛盾を突かれてしまう。黄金のバックルはその決定的な証拠となる。

全篇を通じてヒッチコックのタッチが横溢。音楽も、観客心理をどうコントロールするかもヒッチのやり方を引用している。実は「殺人」という言葉を聞いただけで失神してしまう姉の存在もヒッチコックらしいユーモア。

階上に上流社会に棲む犯人、階下には世情に通じた刑事という構図もすばらしい。男をまだ「殿方」と呼ぶ女性がいた時代。

またしてもコロンボはぼんやり運転をしていて、パトカーにプジョーをぶつけてしまう。

「ごめんよー、ぶつけちゃって」

「なーに、こっちはびくともしませんよ」

この皮肉に気づかないコロンボの、どこが世情に通じてるのかってことなんだけど(笑)。おまけに70年代のロスで花粉症で苦しんでいるし、カリスマ美容師によって頭が……。

犯罪があばかれるのは、弟がつくった博物館の目録のテープによって。名刑事の推理で、過去にあったもうひとつの犯罪がうかびあがってくるあたりのクールさもヒッチコック風なのでした。

犯人を演じたのはジョイス・バン・パタン。「サイコ」のマーティン・バルサムの奥さんだった人でしたっ!なるほど。

Vol.40「殺しの序曲」につづく

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明細書を見ろ!2011年10月号~監査終了。

2011-10-19 | 明細書を見ろ!(事務だより)

Riseoftheplanetoftheapes 2011年9月号「で、子ども手当はどうなるのか」はこちら

18日に行われた監査(正式には会計局会計事務指導及び実地検査)へのご協力、まことにありがとうございました。

毎日のように「出勤簿にハンコを押せ!」とくりかえしたのにはもちろん理由があります。知事部局では紙ベースの出勤簿は消え失せ、自分の端末に入力するだけになっているのはお伝えしましたが、あちらにしたって監査においては出勤データが最重要視されています。

なぜなら、監査を行う人間は職員の一人ひとりを把握しているわけではなく、その職員が

・病気などで休んでいないか

・雇用期間はどうなっているか

・出張にいつ出発して帰って来たか

などを総合的に判断する手段は出勤簿がいちばん、というかほとんど唯一の存在だからです。ハンコを記号に、監査員はわたしたちの職業的日常を見ているわけ。

事務職員の立場からすると、それほど重要視されている出勤簿がグダグダだと、こりゃあ他の書類も推して知るべしだな、と壮絶につっこまれることが予想できるので、出勤簿整理は監査対策における最優先課題。

だからうちの学区の事務職員たちが共同実施がらみで集まったときは

『いかにしてきれいに出勤簿を修正するか』

が真剣に語られたぐらいです。ちなみに、要録などでも使えるでしょうから紹介すると

1.電動砂消しゴムでざっと消す

2.ペンシルタイプの砂消しでていねいに消す

3.ふつうの消しゴムでその上をなでる

4.最後に、ツメでこすって光らせる

……だそうです(笑)。

今回の監査では、まず他校を圧倒する書類の量(特大サイズお買い物カゴ4杯分)で大うけし、他の学校がどんどん帰って行くのにウチの学校だけが置いてけぼり。劣等生の居残り気分。しかも「これでは○島の分まで手が回りませんね」と担当の女性監査員(独身)が

「すいませーん!○島の書類をお願いしまーすっ!」

と他の監査員たちに依頼。会場中が○島、×中の書類をチェックするという悪夢のような様相に。ううう。

予定時間を大幅に延長してようやく終了。

「たいへんですねえ」と監査員(くどいようだけど独身)。

「そう思ったら事務職員にもっと給料あげるように指摘してよ」

「そっちは担当じゃないんでぇ」

ああそうですか。

※画像は「猿の惑星:創世記<ジェネシス>

1作目のラスト。チャールトン・ヘストンが怒りをぶつけるのが人間なのか猿なのかでもめた時代があります。シリーズの陰のテーマが人種差別であることは歴然。日本人に人気があるのは、そのあたりの苦みや痛みを感じないですむからかも。

ひとり(というか一匹)覚醒してしまい、人間の庇護を拒否する主人公(というか主猿公)シーザーの姿には、親元を去る哀しさがただよっているので『泣ける』という宣伝は嘘ではありませんでした。

エンドロールがはじまっても席を立たないこと。そう来たかあ、とうなるようなシーンが挿入されています。主演女優は「スラムドッグ$ミリオネア」のお姉ちゃん。悪役はなんとハリポタのドラコ・マルフォイ。

2011年11月年末調整号につづく

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「図説 ケルト」 サイモン・ジェームス著 東京書籍

2011-10-17 | うんちく・小ネタ

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図説ケルト
価格:¥ 5,040(税込)
発売日:2000-06

ケルト、ってものがどうにもわからなくて図書館から借りて読む。ケルティックとかケルト語とか、だいたいのイメージでしか把握できないし、バグパイプ吹いてスカートはいてるおっさんたちの映像でもなお理解できない。で、このチャート式参考書(なにしろ東京書籍の本ですよっ!)でどう理解できたかというと、やっぱりよくわからないのでした。

ケルトは民族ではなく、共通言語、共通文化をもっていただけ。かつてヨーロッパに広大に展開しながらローマ、ゲルマン、サクソン人などに片隅に追いやられた……認識当たってる?

歴史認識が甘い、というかほとんどないものだからエピソードの数々にどんびき。身体に尿をふりまいていたとか、近親相姦の嵐だったとか……これと、例えばエンヤの荘厳なケルティックチューンをいったいどうつなげろと

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YouTube: Enya - Athair Ar Neamh

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刑事コロンボを全部観る~Vol.38「ルーサン警部の犯罪」

2011-10-16 | テレビ番組

William_shatner Vol.37「さらば提督」はこちら

人気ミステリシリーズの主人公が邦題のように殺人を犯す回。楽屋オチ満載である以上になかなか味わい深いエピソード。

視聴率が下がり気味で、しかしエミー賞をとっていて高額なギャラが必要な俳優を演じるのはピーター・フォーク、ではなくて「スター・トレック」のカーク船長を演じたウィリアム・シャトナー。シャレがきついったら。

「テレビ界では、かけがえのない俳優などいないんだ」

というスタッフの呪詛は、次第にコロンボのなかで発言力を増し、同時にギャラも高くなったピーター・フォークへの皮肉にもなっている。だから前回で最終回になるかも、という流れ。堂々と出演するピーター・フォークがいいですわな。

まだ高価だったビデオ装置を使ってアリバイ工作をするルーサン。彼が殺したのは自らをテレビスターに仕立て上げた元恋人。撮影所の小道具を使い、元兵士である特技で殺害した彼は、コロンボに次第に追いつめられる。殺人現場にいたカフェのオヤジは犯人を

「身の丈は……そうだな、あんたぐらい」

「中背ね」とコロンボ。

「中背?いや、ちょっと低いぐらいかな。」

くさるコロンボがかわいい。それ以上に、犯人であるシャトナーはシークレット・ブーツを履いている設定で、よくこんな役を受けたよな。

この回がうまいのは、制作するユニバーサルのスタジオがそのまま使える以上に(JAWSのアトラクションが出てきます)、犯人と、犯人が演じるルーサン警部、そしてコロンボという三者のやりとりが味わえること。

ルーサン警部であるプライドのために、シャトナーはコロンボにヒントを与えさえする。ちょっと間抜けなミスを指摘されたルーサン警部は最後にこう語る。

「殺人のシーンのリハーサルはやったことがないんだ」

吹替は山城新伍。うまい。被害者に扮したローラ・オルブライトは彼好みの女優だったはずで、現物に会いたかったと思いながら吹き替えていたのじゃないかしら(笑)

Vol.39「黄金のバックル」につづく

Lolaalbrightimg01

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わたし怒ってます~署名記事

2011-10-15 | 国際・政治

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YouTube: ずっとウソだった。2011年09月15日 LIVE福島 会津若松

朝日新聞のオピニオン欄には「記者有論」というコラムがあり、署名入りで記者が“いつもの記事では書けない”自分の考えを披瀝できる場になっている。さすが、とうならせられる原稿も多く、愛読しています。

で、菅直人退陣前、おなじオピニオン欄の「異議あり」に、インタビュー記事なのに記者が自説の強弁に終始した「常識外れ」な回があったのを紹介したでしょう?あの記事を書いた秋山惣一郎という記者が本日登場。わたしはまたしても気が遠くなった。

橋本元首相が京都議定書採択当時をふりかえり

「高い削減目標を掲げろ、でも原発はダメだ、とあなたの新聞は主張してきた。原発なしでどう(CO2削減の)目標を達成できるのか、教えてもらいたい」

との6年前の発言に秋山記者は

・橋本氏が指摘する「主張」は身に覚えがなかったが

と軽くいなし、有論では議定書の約束期間の終了が迫っていることにふれ

・議長国ニッポンの信用にかかわる問題だし

・それ以上に議定書には罰則があり、経済活動に大きな制約を受ける恐れがある

と指摘し、とどめは

・原発なしで20年までに25%削減は難しいだろう。達成できないにせよ、看板を下ろすにせよ日本の国際的な信用失墜は免れない

……言い切りますね。一種の恫喝ではとも思えるくらいだ。そして結論がすごい

・原発への忌避感が強い国民世論を納得させることが政府の義務

先日の菅直人への感情的ともいえる攻撃の根が見えたようだ。反原発などという(彼にとって)絵空事を放言するような首相のイメージを下げたくて下げたくて仕方がなかったのだろう。

くりかえしになるけれど、署名記事とはまことにけっこうなシステムだと思う。読者の側にも「この人の記事だからこんなバイアスが」というリテラシーを育んでくださるのだから。

朝日にもさまざまな記者がいることは当然のことだし、主張もさまざまでいい。ただし、この秋山惣一郎という方は(原発推進の)読売か産経に移られた方がお互いにとって幸せなのではと思うのだが。

本日の一曲は、清志郎亡きあと、怒りを芸にできるロッカーは斉藤和義で決まりだ「ずっとウソだった」

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追悼柳ジョージ

2011-10-14 | 芸能ネタ

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YouTube: 遺言 My Will _柳ジョージ&レイニーウッド

そうか柳ジョージが亡くなったのかぁ。

近ごろはウィスキーも飲まずに芋焼酎ばかり……他人事じゃないのでびびる。

わたしが大好きだったのは「遺言」。

I was born in a blind alley

裏道歩いた俺の たったひとつの夢さ

暗い土の中に埋めないでくれ

若いころでさえ沁みた。

奥さんが浅野真弓なのは意外なふたりでお伝えしたとおり。

アメリカンポップスへのこだわりがあって、日本語で歌うことを拒否していた彼に、強引に「雨に泣いてる」を歌わせたのはショーケンだった。司馬遼太郎の大ファンだったのは有名で、あの鯨海酔候をロックにしてしまう強引な所業はさすがだ。

近ごろのライブではきつい感じでもあったようで、さすがに糖尿はしんどいのか。渋くなる途上での、まさしく夭折。哀しい。どうか暗い土の中に埋めないでくれ。

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刑事コロンボを全部観る~Vol.37「さらば提督」

2011-10-13 | テレビ番組

Lastsalutetothecommodore Vol.36「魔術師の幻想」はこちら

このエピソードが日本で初めてオンエアされたのは1977年。仕方のないこととはいえ、新聞などで騒がれていた。

「コロンボ史上初めて……」

うん、ネタバレだけど仕方ない。刑事コロンボを全部観ると決めたとき、確かロバート・ボーンが犯人の回は“あれ”だったはずとだけおぼえていて、だから「歌声が消えた海」の回がいつものパターンでエンディングを迎えたときに「あれっ?」と思ったのだった。

えーい、もうばらしちゃいましょう。そう、この回は史上初めてコロンボが犯人を見誤る記念すべきエピソードなのだ。

“TITANIC”と船尾にペイントされた小舟がオープニングショット。後で重要な意味をもっていることがわかる。享楽的なパーティを行う娘夫婦のもとへ、“提督”と呼ばれる造船会社社長オーティス・スワンソンが現れ、会社を処分すると告げる。その夜、彼はヨットの道具で撲殺され、娘婿チャーリー・クレイ(ロバート・ボーン)は後始末を急ぐ。

作り手がめざしたのは本格ミステリ。ダイイング・メッセージとなる型紙「S」「A」「I」「L」「S」「.」の意味はなにか、容疑者一同を集め、コロンボに謎解きをさせたかったわけだ。提督の娘ジョアンナ、顧問弁護士ケタリング、“パートナー”である若い娘リサ、弟スワニー、造船所長ウエインの誰が犯人なのか。コロンボは提督のある持ち物を使って罠をしかける。

コロンボにいつものキレがないのは、めずらしく禁煙したりするからだけではなくて、どうも演出がトリッキーで妙なのである。アップが多用されすぎだし、アル中である娘の演技にカメラがまとわりつくのが不自然。こりゃー役者の演出だな、と思ったらそのとおり、おなじみパトリック・マクグーハンPatrick McGoohanが「仮面の男」につづいてメガホンをとっているのでした。

新米の刑事が

「マックと呼んでください」

「マック……アイルランド入ってる?」

「いえ、入ってません」

「アイルランド系じゃないのにマックかあ」

とくりかえされるギャグはマクグーハンのことをさしていたわけ。

最終回として撮影されたのでエンディングもいっぷう変わっていて、「古畑任三郎」において田村正和が西園寺くんに別れを告げる形で継承されている。原題はLAST SALUTE TO THE COMMODORE(提督への最後の敬礼)。このCOMMODOREの部分をLieutenant(警部補)と視聴者に読みかえてほしい回だったわけだ。

Vol.38「ルーサン警部の犯罪」にめでたくつづく

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「モテキ」 (2011 東宝)

2011-10-12 | 邦画

Motekiimg02 三川イオンシネマで「猿の惑星/創世記」が終わるのが11時56分。そのまま11時55分開始の「モテキ」にそぉーっと向かう。

なんでそぉーっとかというと、やっぱりちょっと中年向けのネタじゃないじゃないですか。館内でうかないといいなあ……でえええええ若い観客で満杯ですっ!朝イチでチケットを買っていなかったらギブしてました確実に。

テレビ東京のドラマは(山形ではTUYが深夜にやってました)見てなくて、原作のマンガも読んでいない。マン好きを自称していたわたしが、ちかごろまったくマンガを読んでいないのはちょっと反省。

「世界の中心で、愛を叫ぶ」も観ていないので、森山未來と長澤まさみの再会に期待したわけじゃない。っていうか見終わってから「そういえば」と気づいたぐらい。そんなわたしがなぜこの映画を無理しても見たかというと、なーんか面白そうな匂いがプンプンしませんか(笑)。

なんつうかなあ、童貞の悪戦苦闘ぶりが「芸になっている」という評判は無視できない。オタクという、要するに単性生殖できる、異性がいなくても自足できるはずの存在が、セックスをどう成就するのか……なんか他人事じゃないような気もして(^o^)

モテキに入ったオタクが、しかし頭の中はフェスティバル状態なのに現実の行動がともなわないあたりに中年は苦笑。お前そんなことだから童貞なんだよ……とこれは上司役のリリー・フランキーが絶妙に演じていて納得。若手のおこぼれをサクサクいただいちゃうあたりも納得。中年はこうでなくっちゃ。

しかしあふれるほどの80~90年代ソングがそんな中年の落ち着きを吹き飛ばす。B’zメドレーをひとりカラオケする女性(麻生久美子)においおい、と突っこんでいるうちはよかったが、以下のモテ曲には、お前が若いときだってそうだったろやと。

「あの娘ぼくがロングシュートを決めたらどんな顔するだろう」「カルーアミルク」岡村靖幸

「失格」橘いずみ

「ヤード」TOKYO No.1 SOUL SET

「今夜はブギー・バック (smooth rap)」スチャダラパー featuring 小沢健二

……頭悪いふりして誰よりも屹立している仲里依紗と、よくこの役うけたよなあ麻生久美子がかわいい。真木よう子はあんなアクションして妊娠してたんじゃなかったっけ?そして、どんだけ足長いんだ、どんだけ巨乳なんだ長澤まさみ!と中年なりに楽しんだのでした。どうもすみませんでしたっ!

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「猿の惑星:創世記<ジェネシス>」Rise of the Planet of the Apes(2011 FOX)

2011-10-11 | 洋画

Riseplanetofapescaesar 「要するに(ピエール・ブールの)原作は人種差別や文明の奢りを糾弾する左翼小説で、そいつを旧作では右翼(チャールトン・ヘストン)が主演してたわけだ。」

ティム・バートン版「猿の惑星」に主演した(文句なく、主演だった)ティム・ロスの発言が旧シリーズを象徴している。

1作目は自由の女神のラストシーンのみが語られるきらいがある。確かにみごとなエンディングだった。でも、日ごろペットとして愛玩していて、それはつまり“違う”存在なはずの猿が、自分たちを支配する常識の反転こそがみごとだったのだ。

その1作目は、TBSでテレビ初放映されたときの視聴率が異常に高かったのでも有名。なんと37.1%!(山形ではやってませんでした)。続編も30%以上をかせいだはず。黄色い猿である日本人はこの作品が大好きなのである。

ただ、理屈ではわかっていても、人種差別へのもっと明確なメッセージは猿の女性科学者であるジーラの

「あなた(チャールトン・ヘストン)たちの……毛のない……妙にのっぺりした身体とふれあうのは耐えられない」

というセリフの方が説得力ありあり。そうか、そうだよなあと思ったものでした。差別の根は深い。

さて新作。これまでのどのエピソードよりも猿側から描いてある。

1作目のラストで人間への絶望が語られたけれど(猿への怒りだと誤解する向きもある)、猿の進化を助けるのは人間がつくったアルツハイマー治療薬。利益追求する薬品会社の上役というティピカルな悪役を設定してはいるものの、父親を助けたいという化学者(ジェームズ・フランコ)の善なる思いから発している話なのである。

だから怒りはむしろ、猿たちを劣悪な環境においたままである動物保護局の虐待に向かう。ここ、要するに人間で言えば牢獄なのであり、サディスティックな“看守”が、ハリポタのドラコ・マルフォイなのは納得。

知能が発達したチンパンジー、シーザーが、それゆえにまわりに迫害されながら自分の道を貫くストーリーは、革命の物語であると同時に、親元を去っていく話なのでどこか物悲しい。

CGであることがわかっていても、悲劇の猿シーザーのもととなった演技は「キングコング」や「ロード・オブ・ザ・リング」でゴラムを演じたアンディ・サーキスが貢献している。いやはや名演。マジでオスカーとるんじゃないのか。まさか?いやいや猿をあなどっては……。

「猿の惑星:新世紀」につづく

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刑事コロンボを全部観る~Vol.36「魔術師の幻想」

2011-10-10 | テレビ番組

Nowyouseehimimg01 Vol.35「闘牛士の栄光」はこちら

マジシャンのお話。とくれば本格ミステリである。このふたつは親和性が高いからね。3回目の犯人役であるジャック・キャシディ(「構想の死角」「第三の終章」)の、尊大で、ほとんどアニメではないかと思えるようなキャラとルックス(と田口計の吹替)がすばらしい。

彼はナチの親衛隊だった過去をクラブのオーナーに知られており、ギャラの半分を持って行かれることを不服としてオーナーを殺害する。それは、彼が「水中の幻想」という脱出魔術を行っている10分弱の間のことだった。

いつものコロンボとは違うという気合いとユーモアが感じられるエピソード。なにしろ、コロンボは妻にプレゼントしてもらったツイードのコートを着て登場するのだ。彼は脱ぎたくてしかたがないんだけどね。

おまけにコロンボのテーマ(実はコロンボがオンエアされたNBCの「ミステリー・ムービー」枠の音楽。つまり火曜サスペンス劇場の「聖母たちのララバイ」みたいなもの)を作曲したヘンリー・マンシーニの「シャレード」の音楽が使われていていたりする。

引田天功(年代によってイメージする画像は違うでしょうが)で日本では有名な脱出マジックがキーポイント。他にもマジシャンズ・セレクトがその10分間に仕込んであったり、マジック好きにはうれしい回だった。

もっとも、その時間帯にオーナーが確実にその部屋にいることをどうしてマジシャンが知ることができたか、物証は本格っぽくないとか、弱点もある。

娘がアシスタントをつとめていて、その恋人に父親がいらついているなど、古畑任三郎の「魔術師の選択」がかなりいただいていることがわかります。ジャック・キャシディと山城新伍は雰囲気も顔もそっくりだし(笑)

このドラマの見せ所は、犯人なら外せるに違いないとコロンボがキャシディに手錠をかけるシーン。犯人にコロンボが手錠をかけるシリーズ唯一のシーンであること以上に、それがコロンボの罠であることを知りながら、キャシディがその手錠を外してみせることだ。

誰しもが才能を持っているとするふたりの会話が渋い。

「わたしのは幻想を生み出すことで、あなたのは現実を把握することだ」

これはつまり、犯罪者と探偵の関係性のことなのである。マジシャンの娘を演じたシンシア・サイクス(なんと彼女はいま『ブレードランナー』再映画化の権利をにぎっている)がとても魅力的。スローで再生しても彼女が鳩を出す初歩的なトリックを見抜けませんでした。どこがマジック好きだよオレ。

Vol.37「さらば提督」につづく

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