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およそ不可能に思える作戦を、冷静に遂行するスパイ集団……そんなテレビシリーズのワクワク感を、映画版は第一作目からキャンセルする。なにしろ、ある理由でリーダーのフェルプスがもう登場できないようにしてしまうのだ。
トム・クルーズの、それが意向だったかはよくわからない。結果的に彼が演じるイーサン・ハントがリーダーとなり、八面六臂の活躍をすることになったけれど、緻密な作戦をリーダーが計画し、有能な部下たちが(突発事態に対処しつつ)実行するという、スパイ大作戦のキモの部分がいきなりなくなったのは痛い。
それに、ジェイソン・ボーンや007でおなじみ、スパイとくればやはりヨーロッパが本場なので、エマニュエル・ベアールやジャン・レノといったフランス組、クリスティン・スコット・トーマスやヴァネッサ・レッドグレイヴのイギリス組が参戦しながら、しかしどうにも冴えない。
ファンだから言うわけではないが(ファンだから言うんだけど)いちばんスパイの雰囲気をもっているクリスティン・スコット・トーマスをあんな形で退場させることはないと思う。
同じことが二作目と三作目にも言えて、男同士の激突(ジョン・ウーだから仕方ないか)や、愛する女性を救うために死を選択さえするイーサン・ハントの熱血ぶりは、やはりどこか違う。
でも、それじゃあこのシリーズはつまらないのかといえばそんなことはない。ストーリーは練りあげられているし、DVDの特典映像で理解できるように、トムはとにかくフリーフォールが好きで好きでたまらないらしく、いつも垂直落下するシーンがあるので笑えます。
新作「ゴースト・プロトコル」では、チームメイトに「ハート・ロッカー」のジェレミー・レナーを起用したようだし、今度は静かなリーダーとして知略を尽くすってのはどうだトム。うわ、予告編を観たら前以上に無茶なフリーフォールを。どこまで行くんだトム!当局は一切関知……するけどさあ。