事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

刑事コロンボを全部観る~Vol.35「闘牛士の栄光」

2011-10-09 | テレビ番組

Amatterofhonorcolumboimg01 Vol.34「仮面の男」はこちら

今回はコロンボ休暇中のお話。奥さんといっしょにメキシコに行き、例によってプジョーをぼんやり運転していたコロンボが事故を起こしたことから地元警察に協力することになる。休暇なのにいつものレインコートを着ているのがすでに笑える。

どうも異国っぽくないなあと感じられるのは、主要な登場人物たちが英語で会話するからだし、ロサンゼルス自体がもとはメキシコ領で、最初からスパニッシュな雰囲気があるからかも。

でもなにしろ出てくるキャラクター名がルイスとかミゲルとかマリアとか……そして犯人の名はモントーヤですよ!カートのやんちゃ小僧の名前がこんなところにも(F1ドライバーのモントーヤはコロンビア人)。

そのモントーヤは国民的英雄である元闘牛士。闘牛について、アメリカ人であるコロンボが懐疑的なところを見せると……

「リング上で男ふたりが意識を失うまで殴り合うのはどうなんです?」

なるほど。誇り高き闘牛士の理論武装。

この回は、上のやりとりに見られるように、闘牛という一種の蛮習がどれだけスペイン系にとってだいじなものかがキー。原題A Matter of Honor(誇りの問題)はそれをさしている。

モントーヤ(リカルド・モンタルバン)は長年の盟友である相棒を麻酔銃で撃ち、ある方法で殺害する。凶器はなんと牛!闘牛において牛は赤い色に反応するのではなく、“動き”にいらつくだけだという事実がコロンボを解決に導く。

「(解剖で)検出されるほどの薬だったらかえってめんくらってましたよ」

というセリフはミステリとしてもなかなか。闘牛士のケープには、本来あるべきものがなかったのである。

謎なのは動機であり、特殊な動機だからこそ犯人は友人を殺し、権限のない外国でもコロンボが事件を解決できたわけだ。監督は職人テッド・ポスト。

歌声の消えた海」事件(アカプルコへの船が舞台)が評判になったせいで、コロンボがメキシコで有名人だという設定が泣かせます。吹替は庄司永建(新庄出身)、新克利、雨森雅司(バカボンパパ!)。

Vol.36「魔術師の幻想」につづく

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芸談好き~「米朝よもやま噺」「藝、これ一生」桂米朝著

2011-10-08 | 芸能ネタ

Beichoimg01 「落語 知れば知るほど」はこちら

特に関西の落語のことを知りたくて読む。まことに、お勉強になる。ABCラジオ番組の書籍化。

「関西は昭和27、28年ごろから賑やかな漫才や喜劇がトリを取るようになったんや。落語中心から漫才中心へと変わっていったんです。」

「ミナミとキタの花月には下座にピアノがありましたんや。それを弾いてたのが江利チエミのお父さん。」

人間国宝の名に恥じない芸の艶と、それに同等するほどの冷静さ。一度死んだ上方落語を、かろうじて現在の位置まで持ちこたえさせたのは彼のこの冷静さ(と彼の長寿)があったからだと思う。桂春団治の破天荒さだけでは(笑)こうはいかない。

それにしても米朝とは色男だ。こりゃー、ここに書けないお噺もいろいろございましたんでしょう?

藝、これ一生 米朝よもやま噺 藝、これ一生 米朝よもやま噺
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2010-02-19

米朝よもやま噺 (朝日文庫)
価格:¥ 735(税込)
発売日:2010-08-06
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「監察医が書いた死体の教科書」 上野正彦著 朝日新聞出版

2011-10-07 | ミステリ

1何 いつ(時間)―その死体はいつ殺されたのか
2何 どこで(場所)―どこで殺害されたのか
3何 誰が(犯人)―誰に殺されたのか
4何 誰と(共犯)―共犯はいるのか
5何 何ゆえに(動機)―なぜ殺害にいたったのか
6何 誰に対して(被害者)―被害者は誰なのか
7何 いかにして(方法)―どのように殺害されたのか
8何 いかにした(結果)―最後はどうなったのか

51ekgujbal_sx230_ 著者が提案する8何(はっか)の原則。ふむ。

ミステリ好きのひとりとして、やはり検死について少しはお勉強しておかなくてはと読みこむ。鬱血の状況などで自殺と他殺の区別がつくとか、確かにためになる書でした。ただ、それ以上に(自殺であることを知られたくなくて)多くの遺族が死体をいじってしまうという状況に驚愕。やるせないっす。

監察医が書いた死体の教科書 「8何の原則」が謎を解く
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2010-09-17
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芸談好き~「落語 知れば知るほど」橘左近著 実業之日本社

2011-10-06 | 芸能ネタ

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落語 知れば知るほど
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2007-05-31

特に明治期における落語の伸長、そしてラジオによる落語家人気の爆発などの歴史がお勉強になる。ずーっと昔から落語家たちは勢力争いを続けていたということも再確認(笑)。
定番のネタを、誰が十八番にしているかなどはこの書がなければ知ることなしに終わったかもしれない。師弟系図はまことに味わい深い。

著者の橘左近は「笑点」の文字でおなじみの寄席文字の書家。なるほど、なるほど。

それにしても、関西の落語については誰も語らないのかなあ……ということで怒濤の読書が始まってしまいました。これまでも、丹波哲郎いかりや長介笠原和夫など、藝に対峙する本の面白さを特集してきたけれど、もう止まらない。次回は桂米朝です。

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海の男と呼んでくれマジバージョン

2011-10-05 | まち歩き

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YouTube: 山形県酒田市2010年6月5日「いか釣り船団出航式」

ウチの若いもん(だからどこの若いもんだよ)が撮った、しかも港座関係者がからんでいるイベント。

ほんまもんの海の男はやっぱり違いますね。波高50センチ以上でもがんばるんだろうなあ。バックに流れているのは「飛島育ち」?

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私は無実ですPART2

2011-10-04 | 公務員

Ishikawaimg01 PART1はこちら

大阪地検特捜部のずさんさは、黒幕だと決め撃ちした石井一議員の動きをきちんと精査しなかったあたりに読み取れる。

石井は昔から手帳に「いつ・どこで・誰と」会っていたかの詳細なメモをつけており、凛の会関係者と会っていなかったことがいとも簡単に立証されてしまったのだ。

「政治家になったときから、この記録はつづけている」

ある意味、検察に足元をすくわれてなるものかと実感しているに違いない旧田中派議員は違いますね。

その検察が、なぜこんな暴走をしてしまったか。東京地検が小沢一郎がらみの事件を(当時)立件できなかったため、大阪は石井で行こうと安易に手柄をとりに走ったのであろう。検察はこう考えた。この事件の背後には確実に政治家の影がある。そのためには、係長が勝手に証明書に判を押してしまったのでは都合が悪い。だから課長を引っぱれ!と。

捜査に入る前に、自分たちでストーリーを描き上げ、そのストーリーにそった証拠や自白だけを重視し、他を切り捨てる特捜の方法論自体がここで問題になる。フロッピーの改ざんはその象徴だ。

なぜ今ごろこの事件に関する本を読んだかおわかりですね。特捜はいま組織の存亡すら問われている。その時期に

・特捜批判のきっかけとなった小沢一郎関連がまた問題となり

・同じ旧田中派出身の議員を狙い撃ちし

・検察の取り調べが却下された事件を

・「~と推認できる」というようなあやうい文言で有罪判決をだした

現在の状況が、村木事件の意趣返しでないとはとても思えないからだ。だって、この判決を厚労省事件に敷衍したら、「係長がやったことを課長が知らなかったはずがない」と村木課長は文句なく有罪になってしまう。

小沢一郎的なるものへの排除のためになら“何でもあり”だと考えているとしたら、わたしたちが払う代償はとてつもなく大きなものになる。近ごろ、新聞を開くのが怖い。

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私は無実ですPART1

2011-10-03 | 公務員

Murakiatsukoimg01

私は無実です 検察と闘った厚労省官僚村木厚子の445日
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2010-09-07

村木厚子(元)課長が無罪になったことはまことにめでたいことだし、弁護側の活動が有効だったことも確かだ。でも、この本を読むと無罪獲得がいかにきわどいライン上にあったかがよくわかる。あぶないところだったのである。

よく知られているように、障害者郵便制度悪用事件は

・凛の会などの組織が、障害者団体であるとの証明書を使って、家電量販店などのDMを心身障害者用低料第三種郵便物として廉価に発送することを目的とした犯罪で

・その証明書を担当係長が勝手につくったものか、上司の村木課長が関与したかが問われ

・同時に民主党の政治家がその口利きをしたのではないかと噂された

事件だ。告発したのは大阪地検特捜部。

政治家とは石井一のことであり、ラジオでその報道を聴いたわたしは、「これが本当なら民主党政権はもたないなあ」と思ったのをおぼえている。

ところが、この事件に関しては「どうも課長は無罪なのではないか」という話がネットでも出ていたし、大手メディアのかたすみでも語られるようになっていた。というのも、村木課長は徹底して無罪を主張していたし、検察の動きも不自然になっていたのでマスコミも考えこんだのだろう。ひょっとして、と。

前に「特捜のエース」で特集したように、冤罪を立証できたのは

・被告自身が名探偵だったこと

・関与した政治家に対する調査が不十分だったこと

・検察の手法に対する批判の土壌が醸成されていたこと

などの条件がそろっていたからだ。

ひとつひとつ見ていこう。まず、被告自身が無罪である主張をまったく曲げなかったのが強い。検察はその取り調べのなかで、「執行猶予がつけばたいしたことはない」などと甘い言葉もささやいて有罪を認めさせようとしたが、職業人としてのプライドがそれを許さなかった。

「彼らがつくった調書を読んで、この人たちは霞ヶ関を知らないと思いました」

という彼女の感想など、地方大学出身キャリアの凄みすら感じさせる。だてにこの業界で食っちゃいないぞと。くわえて……以下次号

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「謎解きはディナーのあとで」 東川篤哉著 小学館

2011-10-02 | ミステリ

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謎解きはディナーのあとで
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2010-09-02

もんのすごいベストセラー。刊行して一年、いまだにランキングに入っている。版元(小学館)も著者自身(東川篤哉)もびっくりだろう。どちらもミステリ業界ではあまり注目されないでいたので、逆転ホームランという感じ。

図書館でお目にかかるにはだいぶ時間がかかりそう。でもこれだけ売れているのだから、なんとかなるんじゃないかと思っていたら(買えよオレもよ)、事務室の相方が買ってました。

「すごく面白かったです!」

ってことですぐに貸してもらいました。やはり学校事務職員は複数配置でなくっちゃ。

連作になっていて、主な登場人物は三人。

・お嬢様刑事の宝生麗子(お嬢様の名前と言えば麗子なのねやっぱり)。

・宝生家の執事の影山。

・麗子の上司で、事件を引っかき回す風祭。やっぱり富豪。

実はワトソン役の風祭のキャラ設定がおみごとで、常に真相を見誤って読者に事件の背景を解説してくれる。目撃者のガキとのやり取りには笑った。

守秘義務もへったくれもなく執事に事件のアウトラインを(いやいやだけど)話してしまう麗子に、

「この程度の真相がお判りにならないとは、お嬢様はアホでいらっしゃいますか?」

どSに解決してみせる影山の存在は、アシモフ「黒後家蜘蛛の会」シリーズの給仕ヘンリーを彷彿とさせる。まあ、ヘンリーの場合はゲストたちのプライドを傷つけたりはしないんだけど。

まもなくフジテレビがドラマ化するそう。

麗子→北川景子

風祭→椎名桔平はともかく、

影山→櫻井翔

には事務室のふたりとも「違うだろーっ!」と合意。オダギリジョーか向井理の役回りじゃないっすか。

あとづけの理屈のようだけれど、こんなミステリをみんなが待っている時代なんだと思う(装幀のすばらしさにも注目)。殺伐としていない、あとに何も残らない、消費財としてのミステリ。

「このミステリーがすごい!」の評者たちには無視され(20位以下のランクでした)、影山の推理にはわたしも首をかしげる部分もある。でも、たとえば赤川次郎を購読していた人たちを、近年のミステリ業界は小難しくなりすぎて逃してきたのでは?

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「テクノカットにDCブランド」みうらじゅん著 太田出版

2011-10-01 | 本と雑誌

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テクノカットにDCブランド
価格:¥ 1,300(税込)
発売日:2010-04-15

タイトルに反して内容はみうらじゅんのマジな青春放浪記。ほとんどファミコン人生

おしゃれなイラストレーターであることに(望んでなったくせに)どうにも落ち着かず、次第に現在のみうらが形成された過程がしみじみと理解できるつくりになっている。初体験、結婚、浮気など、意外なほど赤裸々に語られていたのでめんくらう。

成長記には老師が存在するものだけど、みうらの場合は糸井重里がそれにあたるあたり、時代といえば時代。

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