あれはこの夏、ハリポタ最終作を見たときのことだった。シネコンにはこの作品の巨大なポスターが貼ってあり、通りかかったあまり妙齢とはいえない女性ふたりが
「これ、面白そう」
「そうよねえ!」
わたしは耳元でこう囁いてあげたかった。
「奥様、油断してはいけないと思いますよ」(すべて庄内弁に変換して考えてね)
なにしろ主演がダニエル(007)クレイグとハリソン・フォード。スタッフに名を連ねるはスティーブン・スピルバーグ、ロン・ハワード、ジョン・ファブロー。製作と配給にはユニバーサルとドリームワークスとパラマウントがタッグ組んでますっ!そりゃ、普通は期待するよね。ところが、やっぱり油断はできないのでした。
美点は数々あるの。
・ウェスタンとエイリアンものの融合だけに、人間を“収集する”円盤のやり口が投げ縄(笑)。
・巨大な宇宙船がなぜか昭和のアポロっぽくて泣かせる。
・ハリソン・フォードの見せ場がどう考えても「スター・ウォーズ」のあのシーンといっしょ。
・「スカイライン/征服」では不完全燃焼だったあのお姉ちゃんが思いきり脱いでくれている。ええええっ!違う人だったのっ!?てっきり同一人物だと。
・キース・キャラダインが出てくるだけで中年の映画ファンは満足。
……なのにね、どうにもやっぱりいまひとつ。この脚本によくぞクレイグとハリソン・フォードは出演を承諾したよなあ。逆に、この作品に二人が出ていなかったらどんなことになっていたか(笑)。バランスが悪いしエイリアンに深みがない。
おそらく、ネイティブ・アメリカン(もうインディアンと言ってはいけません)への偏見ありありのハリソン・フォード演ずる“大佐”が、宇宙人の襲来によって彼らと理解し合う展開を支柱にしたかったんだろう。でもインディアン(あ、言っちゃった)とエイリアンを二重写しにする仕掛けもうまくいっていない。
でも、こうまでしてまっとうな西部劇を成立させたかったという意気込みはうれしいの。にしては、西部の荒野がどうにも狭いのがなー。