goo blog サービス終了のお知らせ 

事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

麒麟がくる 第三十八回「丹波攻略命令」

2020-12-27 | 大河ドラマ

三十七回 「信長公と蘭奢待」はこちら

いろんなことの破綻は、小っちゃいことから始まるのがよくわかる回。明智光秀にそんな意図がなくても、彼を“信長の意にそのまま従うつもりもない武将”という印象がペタペタと貼り付けられていく。おそらくは本能寺にそのことが影響していく算段なんでしょう。

芦田愛菜が無邪気な存在として登場。光秀の娘。ああ、この人(もう子役の域を超えている)が細川ガラシャになるんだ。悲劇的な人物というだけでしか理解してなかった。どんな人だったんだっけ?どわ、知らなければよかった。いちばん印象深かったのは「黄金の日日」における島田陽子でしょうか。

わたしの世代にとって、島田陽子ほど芸能人の格と実生活の姿が乖離している人もめずらしい。

不倫をするのはいい。だけどそれを少しは隠せよ。そして何より、金銭でもめるなよなーってことです。逆に言うと、ヘアヌード写真集で一気に挽回できるぐらいの格だったのはおぼえておいてね。脱ぐ覚悟は昔からある人だったのでそれはいいんですけど。貧乳?それは「砂の」で承知しています。小っちゃいことです。

あ、大河ドラマのお話でした。いやはや黒い黒い。こんな展開を待ってたんですよ。天皇を中心に近習は織田信長をどう遇するかで激突。石橋蓮司VS小薮千豊という構図はいい。そしてそこに加藤清史郎が登場。うわールックス変わったなあ。オトナになったんだねえ。

わたしは例によってお駒ちゃんや東庵先生をバッシングする勢力に異を唱えるものなので言っとこう。

このキャストのなかで、本来であれば歌舞伎の坂東玉三郎がどうしたって最後にクレジットされるはずだ。でもNHKはバラエティ&ロック出身の堺正章を選んでいる。素晴らしいと思う。島田陽子の不倫相手がロケンロールであったことも含めて。

第三十九回「本願寺を叩け」につづく

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今月の名言2020年12月号PART5 順風逆風暴風

2020-12-26 | 国際・政治

Everything But The Girl - Time After Time

PART4「追悼林家こん平」はこちら

菅政権は「選択と集中」で無駄を排除する新自由主義的な性格が強いと見られている。感染症対策には医療資源の戦略的備蓄が必須ですが、それは感染症が広がっていない時には無駄に見えます。だから、新自由主義にはなじまない。

今回の感染症対策で政府は、いつまでに、どういう手段で、どんな数値目標を達成しようとしているのかを明示していません。すると、事後的に成否の判断ができない。

ただ『頑張った』という主観的な自己評価だけで『対策は成功した』と言い抜けて、検証を逃れるつもりでしょう

内田樹がインタビューに答えて。特に結びの部分は圧倒的に正しいと思う。どのような結果になろうとも、この政権が絶対に失敗と認めない体質なのはみんなひしひしと感じているはずだ。

前首相は無能なのはもちろんだけれど、有害な存在ですらあった。国家主義的な主張を空疎な美辞麗句でたれ流し、結局は何もできずに終わっている。まがりなりにも政権がもったのは、

「こんにちは、ガースーです」

という存在がいたからなのは間違いない。これまでが「安倍=菅政権」だったのだから、彼が首相になっても何も変わらない……少なくとも本人はそう思っていたはずだ。実際はおれが舵取りをしていたんだから、との気分が彼には確実にあったろう。

どちらがいいという話ではないが、彼にはやりたいことがないんだと思う。権力の座を守ることが自己目的化しているようにわたしには見える。

しかし時期が悪かった。コロナ禍のために政治への視線が今までになく冷たいところへ持ってきて、どうにもお仲間の質が悪いのが致命的。そして批判をあびている最中にあのガースー発言。就任直後だったら大うけだったろうに。

それにしても世間の風はきまぐれだ。順風も逆風も暴風なの。舵取り、むずかしいですよね。

本日の1曲はエブリシング・バット・ザ・ガールと言えばやっぱり(カバーだけど)これじゃん。「タイム・アフター・タイム」しみじみ。

PART6「友情」につづく

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「その裁きは死」 アンソニー・ホロヴィッツ著 創元推理文庫

2020-12-26 | ミステリ

今年もホロヴィッツかよっ!

カササギ殺人事件」「メインテーマは殺人」につづいてミステリランキング三連覇。今回は「メインテーマ~」につづいてホーソーンもの。

警察を退職し、コンサルタントのような仕事をしているくせ者ホーソーンの扱う事件を書くのがホロヴィッツ自身という、どう考えてもシャーロック・ホームズのパロディのようになっていて(なにしろコナン・ドイルが書いた名ゼリフがそのまま引用してある)、しかし堂々とした犯人当てミステリでもある。

これまで、ホームズ007のパスティーシュも書いている(遺族からの信頼が絶大なのだろう)ホロヴィッツだけれど、どこか薄味な感じがしませんでしたか。放送作家としてのサービス精神はさすがだけれど、もうひとつコクがあるとなあ……

今回は違いましたよ。魅力的な登場人物(それは無能で醜悪な刑事たちも含めて)が続々投入され、これまででいちばん興奮させられたかも。いやしかし、これだけの小説を連発し、ドラマの脚本も書き……どんだけ働き者なんだホロヴィッツ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今月の名言2020年12月号PART4 追悼林家こん平

2020-12-24 | 芸能ネタ

Everything but the girl - Come on home (acoustic)

PART3「サクラサクラ」はこちら

先代圓楽、歌丸、木久扇(長らく木久蔵)、小遊三、楽太郎(当代の圓楽)らと並び、林家こん平は、「日本人にとっての落語家のイメージ」を守るために奮闘努力した人であった。

それはまた初代林家三平が命を削るように賭けた、「目の前の客を笑わせる芸」とつながる精神である。

堀井憲一郎がこん平の死を悼んで。

寄席に通いまくっている堀井だからこそ、テレビに落語家がいることが普通であることを実現した「笑点」のありがたみを理解しているのだろう。ひょっとして終わった芸能だった可能性だってあったわけだから。

だからわたしは昇太が司会をやっている現状を激しく支持する。慧眼の人というのはいるものだなと。

本日の1曲はエブリシング・バット・ザ・ガールの「カモン・ホーム」。これをクリスマスソングと主張するのはちょっと無理あるけど、メリークリスマス。よき聖夜を

PART5「順風逆風暴風」につづく

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今月の名言2020年12月号PART3 サクラサクラ

2020-12-23 | 国際・政治

ふくろうず「ごめんね」

2020年12月号PART2「大英帝国の人」はこちら

2013年以降の7年間に貴ホテルで開かれたパーティー・宴席についてお伺いします。

Q1 上記について、貴ホテルが見積書や請求明細書を主催者側に発行しないケースがあったでしょうか。

A ございません。主催者に対して、見積書や請求明細書を発行いたします。

Q2 上記について、個人・団体を問わず、貴ホテルの担当者が金額などを手書きし、宛名は空欄のまま領収書を発行したケースがあったでしょうか。

A ございません。弊ホテルが発行する領収書において、宛名を空欄のまま発行することはございません。

……立憲民主党の辻元清美議員とANAホテルの文書のやりとり。もちろん「桜を見る会」の前夜祭をめぐって。当時の首相は辻元議員の質問にこう返した。

「私がここで総理大臣として答弁することについては、全ての発言が責任を伴うわけであります。そういう観点から答弁をさせていただいているということでございます。」

例によって強気な発言を繰り返したが、東京地検特捜部の捜査によって、彼の発言に齟齬があることは次々に明らかになっている。

どうやら前首相の逮捕には至らないようだけれども、この“呼吸するように嘘をつく”人物が首相でいた7年間で、日本のモラルはどんどん低下したと確言できる。ひとり国会や官僚が低レベル化したのではなく、日本全体がだ。

本日の1曲は、吐息をつきながら「ごめんね」ふくろうず。ごめん。

PART4「追悼林家こん平」につづく

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「誘拐屋のエチケット」横関大著 講談社

2020-12-23 | ミステリ

どんでん返しの名人で、エンディングを強引にハッピーエンドにもっていく横関大の本領発揮というところかな。世の中ではけっこう誘拐が起こっていて、しかも誘拐された方がハッピーな場合もあるという設定(笑)。クールな主人公がしだいに抜けている(ように見える)相棒に感化されてゆき……そう来たか。

「ルパンの娘」シリーズが売れまくっている(んだと思う)ので彼の作品は書店でもポップ立ちまくり(だと思う)。売れるミステリ作家の誕生を言祝ぐ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「一人称単数」 村上春樹著 文藝春秋

2020-12-22 | 本と雑誌

6年ぶりの短編集だとか。何度も言うようだけれど、わたしは村上春樹の本領は短編にあると考えているので、まずはうれしい。

長編にももちろんその

「自分に似せた主人公と作者が二重写しになる」

傾向はある(だからこのタイトルは意味深)。でも短編は、特にこの短編集においてはそれが顕著だ。むかし寝た女性の顔を思い出せない、ヤクルトスワローズを愛する、年長者との関係をあきらめている若くない存在。

とにかく文章が絶妙で、おかげでこの本の次に読み始めた某作家の小説をギブアップしてしまいました。酒田が出てくる「品川猿」の続編?も入っていて、これがかなり読ませます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

モップの彼女

2020-12-22 | ミステリ

◇「天使はモップを持って」

◇「モップの精は深夜に現れる」

◇「モップの彼女は呪文を知っている」

◇「モップの精と二匹のアルマジロ」

◇「モップの精は旅に出る」

すべて実業之日本社文庫(文春文庫から出ているのもあります)。

ドクターM」のなかですばらしかったのが近藤史恵の「第二病棟の魔女」。

子ども嫌いの看護師が小児科に配属されてしまい、ガキどもに翻弄される。しかし彼らは深夜に第二病棟に現れる幽霊を恐れていて……夜勤で第二病棟に行った看護師は、清掃人に出会う。およそらしくないファッションに身を包んだ彼女は、清掃にいきがいを感じる若い女性だった。

これが、このシリーズのヒロインであるキリコちゃん。意外なことに彼女は謎を解くことも清掃と同じように得意だったのである。

近藤史恵は、自転車レースを題材にした「サクリファイス」や、ビストロ・パ・マルものなどシリーズが多いんだけど、キリコちゃんネタは知らなかった。で、読み始めたらやめられず、ほぼ完徹状態。甘いラブコメに見えて、仕込んである毒も強いので油断しないでね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ジョン・ウィック:パラベラム」John Wick: Chapter 3 - Parabellum

2020-12-21 | 洋画

チャプター1、チャプター2、そしてこのパラベラムと、興行収入がうなぎのぼりのシリーズ。それはもう出来に比例しています。1よりも2が圧倒的に面白く、2よりもパラベラムははるかに質が高い。

2は1のラストから5日後のスタート。パラベラムは2のラストからほとんどそのまま始まります。

えーっとおれがこのシリーズをDVDで見たのは去年だけど、ストーリーおぼえてるかなあ……おぼえてない客など相手にしないでどんどんお話は進みます。それ、正解でしょう。だってストーリーを語ることは二の次だろうから。

作り手は、まずこんな画面やアクションを撮りたいと考え、ストーリーはそれに奉仕するというやり方をとっているようにわたしには思える。だってそうでもなければどうしてニューヨークの殺し屋をカサブランカに移動させなければならないんだ。黒服のまま砂漠をさまようキアヌ・リーヴスを撮りたいだけなのが見え見え(笑)。

アクションはこれまで一本調子に“敵の銃を敵に向ける”パターンだけだったけれど、今回はなかなか。関節技やハイキック、それにプロレス技まで繰り出す悪ノリぶり。

主席連合の本部?の女性たちに徹底的にタトゥーを入れ、昔ながらのコンピュータの入力シーンを入れるのは60年代スパイアクションへのオマージュかもしれない。

ま、オマージュととるかパクリととるかは微妙ですが、ラストの戦闘シーンでガラスを割りまくるのは「燃えよ!ドラゴン」だし、部屋のつくりは「マトリックス」だった。バイクのライダーが日本刀を地面にこすりつけて火花が飛ぶのはどう考えても「ブラックレイン」(あの残虐なシーンまでいただいている)。

この、臆面もない感じが、しかしこのシリーズの強みなんだと思う。殺し屋ジョン・ウィックが前二作と同じようにラストで……続篇必至よね。

にしても、ハル・ベリーはギリギリ(すごいですよね)だけど、アンジェリカ・ヒューストンは……あの人って歳をとらないものだと思ってたんだけどな。

コンセクエンスにつづく

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「タマゴマジック」 恩田陸著 河北新報社

2020-12-21 | 本と雑誌

空から降ってくるブリキの卵をめぐる短篇とエッセイが交互に。

震災をはさんで、なお巨大になりつづける仙台(S市としか表記されないが)を描写するのに、けっこうな方法だと感服。恩田陸はどう読者に届けるかに意識的な作家だけに、さすが。

おなじみの街が、次第にそれだけではないことに山形で気づく。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする