散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

東京研修9(3)

2006年02月14日 23時06分13秒 | 飲み歩き・東京
さて、昼食(というか飲んだくれ)を中断し、東京都美術館の「ニューヨークバークコレクション展」へ。アメリカのおばはんが集めた日本美術のコレクション展である。いつも東京都美術館の特別展示は非常に混むのだが、今回はテーマが地味なせいか、さほどでもなかった。しかし、展示物にはかなり見るべきものがある。



「飛天」地味ながら平安時代の天女像。
「毘沙門天立像」ぜひ欲しい造形の一体。
「阿弥陀如来坐像」像に朱色が残っている興味深い作品。
「双鶴図」伊藤若冲 鶴が怖いぞー。
「石橋図」曽我蕭白 ライオンキングのポスターか! と言うぐらいの過激なデザインの怪作。

海外に流出してしまったのは惜しいが、それとは裏腹に結構保存状態が良い。

ちょっと時間調整のために、「全日本学生美術展」へ。展覧会名からして大学生の作品展かと思いきや、幼児~高校生の展覧会。なんだか偽りアリではないかと言う気がする。とは言え、上手い奴は既に上手いし、世界観を持っている奴は持っている。

さて、夕方になり、ぜひ行こうと楽しみにしていた、北千住の「O」へ。世に「東京三大煮込み」と言うものがあるが、それを出す店の一つが「O」なのだ(ちなみに、候補店は4軒以上あったりするのだが)。時間前に着いて北千住をぶらつく予定であったが、店を見落として慌てて開店直後に店内へ。開店すぐの4時半にして、すでに5割以上席がうまっている。早速「煮込み、ビール小」を注文。かしら・バラ肉と豆腐の煮込みが到着した。





早速一口食べると、甘すぎず、軟すぎずの適度な歯ごたえの肉と、しっかり味がしみこんで、トロトロになりかかっている(しかし、”す”が入ってない)豆腐の舌ざわりは絶品だ。この店の煮込みには「肉だけ」「肉豆腐」「豆腐だけ」の三種類があり、私は「豆腐だけを頼むのはジジイなんだろうな」と思っていたが、とんでもない勘違いである。これなら「豆腐だけ」を注文するのも当然かも知れない。

量は少なめなので、もう一皿煮込み・コハダ酢・燗酒を注文する。すると若い人(私のことだ)にはデフォルトなのだろうか、「肉だけ」が登場した。うーん、豆腐ももう一度食べてみたかったな・・・
店内はカウンター20席程とテーブルがあるのだが、カウンターに座っているのはほぼ全員一人客。もくもくと煮込みを食べ、酒を飲む。実にストイックな男の店(カウンターは全員男)と言う感じである。

さて、あまり時間がなくなってきた。空港に行く途中にはもってこいの場所にある
新橋「G」へ。一杯目はテキーラのカクテル「ブロードウェイサースティ」が登場した。オレンジとレモン入りの爽やかな味だが、ベースのテキーラの味がしっかりしている。たまたま客が私一人なので、バーマン(女性ですが)に、今日回ってきた展覧会の話と飲み屋の話をする。

二杯目はシャルトリューズを使った「シャンゼリゼ」。これもブランデー、シャルトリューズの味がしっかり感じられる。



やっと落ち着いてきたが、そろそろ帰る時間だ。疲れていたので1時間帰り時間を早めたのだが、また飛行機が延着。結局帰宅は11時すぎであった。

完結

東京研修9(2)

2006年02月14日 12時01分33秒 | 飲み歩き・東京
二日目。
本日は非常に期待していた東京美術倶楽部「美術商の百年展」へ。余裕を持って出たはずだが、場所が分かりにくく、時間ぎりぎりに着く。しかし2番目に入館、かなりゆとりを持って見られそうだ。



まず、4階の「日本画」「日本の洋画」「近代工芸」の展示。残念ながら、工芸作家の方をあまり知らないのだが、日本画・洋画の所には日本を代表する画家のかなりの名品オンパレードである。全体の8割が知っている名前で、国立近代美術館の常設展より豪華な顔ぶれかも知れない。ちなみに、三岸好太郎「雲の上を飛ぶ蝶」も出品されており、嬉しくなる。

続いて3階の陶芸、屏風コーナーを経て、国宝展示へ。展示室の11作品が全て国宝! 人生最高の国宝密度! 周囲全部国宝! と(新薬師寺もビックリの状態に)、私も興奮気味である。まだ誰も来ないうちに、国宝独り占めでゆっくり見ることができた。雪舟の「秋冬山水図」は初めて生で見るが、最初に思ったのは「うわっ、ちっちぇえ!」という事である。迫力のある画なので、かなりの大きさを想像していたのだが、半紙より僅かに大きいくらいの、小振り作品である。それから、「林檎花図」伝趙昌筆、「鶉図」伝李安忠筆辺りも好みだ。残念なのは「色絵藤花文茶壺」野々村仁清と、玳玻盞天目茶碗が展示替えで見られないことであった。

そして一番感動したのが、源氏物語である。普通、源氏物語は画の部分が紹介される事が多く、「まあ、それなりに・・・」と特に感銘を受けた事も無かったのだが、文字の部分を見ると、これが実に美しいのである。日本のかな文字の美ここにあり。欲しくなる事間違いなしである。

会場をもう一回りして、堪能。実に素晴らしい展覧会であった。ものすごく重い図録を購入する。宅配してもらうと配送料が1300円ということで、自力で持って帰ることにした。それから、この展覧会に行ける可能性のある人は、絶対に行くべきと言っておこう。

はかってみた所、2.3kg


前回は展覧会の予定を入れすぎて、自分で自分の首をしめたので、今回は非常にゆるいスケジュールにしている。まだ、午前中ではあるが、赤羽に移動。
1軒目は再訪問、「M」へ。火曜日の午前中だと言うのに、席の約半数が埋まり、その大多数が酒を飲んでいるという素晴らしい店だ。燗酒、あさりヌタ、煮凝り(サメ)という渋いオーダーでスタート。





喉が渇いて、黒ビールとうなぎバラ身ポン酢を注文。これはうなぎの骨についた小さな身を集めてポン酢とモミジオロシであえて食べるものである。こうして食べると、うなぎが非常に歯ごたえのある白身魚であることが分かる。また、山椒をかけて食べるのもよい。



程ほどに押さえて店を出ると、うなぎ弁当を待っていたおばちゃんが、「兄ちゃん、今日は天気良くて良かったね」と声をかけてくれ、挨拶を交わす。

さて、もう一軒。
次はかまぼこなどを作っている水産会社でやっている立ち飲みおでん屋さん「M」である。



ワンカップを頼み、大根と串団子。串団子には僅かにカレー粉の風味が付いており、なかなかの味。やっぱりこの店は練り物が旨いんだろうなと思いつつ、大根を食べるとこれが素晴らしい。煮方も良いが、おでんのつゆがうまいのだ。結構腹いっぱいだが、ぜひもう一品ということで、ロールキャベツを頼んでみた。トロトロに煮込まれたキャベツは予想通りに、つゆを含んでおり、それを口に運ぶと「和食の料理人にキャベツのポタージュを作らせて食べた」状態になるくらいウマイ。
おばちゃんが「あまり塩気を効かしてないんだけど、評判いいんだよ」と教えてくれた。