散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

東京出張(1)

2007年06月04日 23時27分51秒 | 飲み歩き・東京
6月4日から5日にかけて、東京出張に行ってきた。出張といっても研修受講であり(内容はそれなりに意義のあるものだが)、ぜひ今日まとめなければならない商談があるわけでもなく、この記事のカテゴリーも「飲み歩き」になってしまった。

15時すぎに札幌を立ち羽田着、新橋へ。歩いて銀座の「W」ホテル。最近できたばかりらしく、非常に綺麗で快適なホテルだ。室内はフロアリングで、スペースも心持広め、ベッドが低く、ちょっとラグジュアリー(まで行かんか)な感じ。



休むまもなく、銀座の焼鳥「T」へ。



銀座4丁目にありながら、リーズナブルなお店と評判なのである。幸いカウンターが空いており、まずビール。焼鳥の「半コース」というやつに、おばちゃんお勧めの鴨アスパラ焼きを追加して様子を見ることにした。

店中央にある焼き場を中心に驚くほど職人さんが多い(男4人、おばちゃん3人くらい?)。突き出しのサラダ、大根おろしをつついて、ビールを飲みながら眺めていると、店主を中心に非常に丁寧な仕事がされているのが良くわかる。

1本目はまずはつくね・うずら卵が到着。しみじみ旨い。皿にエシャレット&味噌が乗っており、ちょっとした辛味で口がさっぱり。2本目は合鴨みそ田楽に細切りの大葉を振りかけたもの。ちょっと濃そうな見た目だが、さっぱり味。私の目の前にあるタレも2つの壷と、さらに刷毛で塗るタレがあり、複雑そうだ。

あいまに鶏スープを飲み、とりもも、鴨アスパラ。アスパラがジューシーに焼けており、鴨は脂身が強くなく、わりにあっさりした感じだ。事前にこの店のことを調べていると、「おしんこを勧めるおばちゃんの技が見事」という話があったが、なるほど良いタイミングで「おしんこ、どう」と勧められ、まんまと注文。爽やかな味で、追加した日本酒にも焼鳥にもちょうど良い。最後の手羽先をたべ、銀杏を追加注文して終了。

銀杏を入れても7本で足りるのかと思われる人もいるかもしれないが、それなりのボリュームであり、また、多少の余裕を残しておいた方が私には良い。先に店を出た隣の二人組みは「島根から来ました」と言っていたので、私も「札幌から来ました。焼鳥、旨かったです」とおばちゃんを喜ばせておいた。

基本的にはお店のペースで様子を見ながら焼鳥を出すのだが、お客さんが食べ終わる前にうっかり焼きあがると「ゴメンね、早く出して」とおばちゃんのフォローが入り、何とも和やかな雰囲気が漂うのだ。お店の「ホッと感」が素晴らしかった。

さて、次に久しぶりのバー「F」へ。そこそこお客さんがおり、一番手前のカウンター席に座る。まずは爽やかなカクテルを注文し、ネバダを飲む。今日はFさんが見当たらないので聞いてみたところ、「知り合いの寿司屋さんの開店に立ち寄っている」とのこと。うーむ、残念。

2杯目は「マティーニとギムレットの中間のような」と勧められたブロンクステラスを飲んでみた。もう少し強めでも良いなと思ったが「結構強いですから」とのこと(後で判るのだ、これが)。

3杯目にリキュールの面白いものをということで、シルバーブリットが登場。キュンメルというキャラウェイのリキュールを使ったカクテルだ。爽やかな中にも、何とも言えない不思議な風味がするのである。Fさん宛てに「帯広で勧められたバー”K”に行ってきましたが、とてもよかったです」と伝言を頼み、もう一軒だ。

有楽町方面に行き、散々に道に迷う。酔った勢いで(普段の私はこういうことを絶対しない)、ティッシュ配布のお姉ちゃんと工事現場のオジサンに道を聞き、それでもたどり着けず、警察の前に竹刀を持って立っている警察官に道を聞いてたどり着いた。実際酔っているせいもあるのだが、判りにくいビルの地下にある店「CL」である。



店はめちゃめちゃ狭いが、ウィスキー(主にモルト)がリーズナブルに飲める店らしい。確かに店は狭く、椅子がまた異常なほど座りにくい。気を取り直して、「癖の強いモルトを」と頼むとBowmore Scottish Castles16年が来た。うむ、わりと癖の強い、しっかりした味である。

周囲は1人で来ているモルト趣味の年配のサラリーマンが多い。なかなか喋れずに聞いていると、マスター氏は先日までスコットランドに行っており、ボトルを抱えて帰って来て、久々に店を開けたらしい。何という幸運。

2杯目は「ブレンデッドで」と注文(この店でブレンデッドはちょっとずれていたかも知れない)。マスターは「あまり無いんですよね」と迷いつつMackinlay's LEGACY12年。飲んでみると少々甘口だが、オーソドックスでいいじゃないか。

しばらくすると、私の隣に座った女性がマスターに「私、伊藤若冲を見て、京都から帰って来たばかりで、後、K(バー)にも行ってきた」と報告するではないか。これまた滅多に隣席の人に話しかけることの無い私なのであるが、「ちょっと話しかけても良いですか」と声をかけてしまった(←かけ方がまた怪しい)。

不審そうな女性氏に、札幌から若冲を見に行き、バーKにも行ってきたことを説明すると、「若冲、凄いですね」「いやもう凄いです」「どうかしてますよね」「何なのでしょう、あの描き込みは」とすっかり意気投合。随分と話し込んでしまった。

3杯目はスコットランドからマスターが持ち帰ったラガヴーリン1993。ラガヴーリン16年は絶妙なバランスの傑作モルトで、私も好きなものの一つだが、もうひとつパンチのあるこいつはさらに素晴らしい。

何と銀座に住んでいる(羨ましいが、私だったら早死にしてしまうかも知れない)という女性氏を見送り、私はマスターに「楽しそうでしたね」と見送られ、ホテルへ帰る。迷わずホテルに戻れるが、かなり酔っているなあ。明日研修があるとは思えないような楽しさだった。