魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

イゴダカホデリ

2019年03月29日 10時57分28秒 | 魚紹介

(※この記事は2019年3月29日に書いたものですが、2021年3月に株式会社桃鶴堂の社長氏に消され、アーカイブを残すこともできませんでした。そのため、ノンオリジナルとなります。あらかじめご了承願います)

前回の記事ではナンヨウガレイの唐揚げのことを書いたのだが、今回はナンヨウガレイの下の方に写っている魚のことをご紹介したいと思う。この唐揚げの正体は実はスズキ目・ホウボウ科・カナガシラ属の底魚であるイゴダカホデリ。イゴダカホデリは過去にも紹介したことがあり決して珍しい種ではないのだが、久しぶりに見られたし綺麗な鰭たてもできたので改めてご紹介したいと思う。

イゴダカホデリの胸鰭はホウボウと違って青い斑点は入らず、一様に黄緑色で目立った斑点はなく、縁取りだけが赤いのが特徴。ホウボウ属の鰭は死んでしまうときれいに広げるのは難しい。それでもこれは、まあうまくいった方である。できれば生きているもの、例えば釣れた直後とか、網に入った直後の個体を撮影するなどしないと、なかなか美しく胸鰭を広げた写真は手に入らない。冷凍した後だと鰭が裂けてしまいやすいのでこれもやめたほうがよいだろう。

大きな特徴は吻棘。イゴダカホデリの吻棘はほかのカナガシラ属のものと異なり1本のみで強大なのだ。ほかの日本産カナガシラ属魚種では小さな棘が複数あるというものなので本種の独自の特徴といえる。ただこの棘の形状にはいくつかバリエーションがありそう。このほか体側には赤色の小さな斑点が多数あり、これの形状でもソコカナガシラなどと見分けるポイントになるかもしれない。某図鑑サイトで「イゴダカホデリ」とされていたのは体側の模様を見た感じではソコカナガシラだと思われる。今回の個体もナンヨウガレイと同様に長崎 印束商店の石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

前回は2009年にこのぶろぐで記事にしたのだが、その間の2010年にも宇和島近辺の水深70mほどの海底から小型底曳網漁業によって漁獲されたのを入手したのでついでにご紹介したい。しかし小型底曳網漁業でとれたのは小型の個体ばかりで、大きいのはもっと深い海に生息しているのではないかと思われる。

小さくても吻棘は1本のみで強大でありイゴダカホデリとわかる。また体側にある小さく散らばった赤色斑点があるのも幼魚と成魚では変わらない。写真の個体は胸鰭を畳んでしまっていたのが残念。なおイゴダカホデリのほか同所的にカナドやカナガシラも漁獲されたがカナドはやはり小さい。カナドも本来はもっと深いところの魚であるが幼魚の時だけ浅い場所でも見られるようである。

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