今月ももう残り少ない(もう一年の1/12が過ぎたのかと思うと驚きなのだが)。しかし「メバル強化月間」ということで今日もメバル科の魚をご紹介。昨日はウスメバルをこのぶろぐで紹介してきたので、今日はウスメバルによく似た魚をご紹介。スズキ目・メバル科・メバル属のトゴットメバル。
メバル属は主に岩の間にじっとして動かないムラソイのようなもの、海藻の生えた場所や岩礁域で群れて浮かんでいるメバル類のようなもの、あるいは深海性のメヌケ類、中間的なものなどいるのだが、このトゴットメバルは比較的遊泳性が強い感じである。
体側の側線上方に黒い模様があり、ウスメバルに似ているが、トゴットメバルの黒い模様ははっきりしていることが多く(ウスメバルは不明瞭なことが多い)、その模様の輪郭は丸みを帯びている(ウスメバルでは不定形)。また側線有孔鱗数もウスメバルと比べると少ないらしい。
頭部はメバルやウスメバル同様に頭頂棘は小さく弱い。下顎はウスメバルと比べてあまり突出していないようにもみえるのだが、これだけで同定ができるような違いではないのだろうか。
トゴットメバルの分布域は北海道南部、青森県以南の日本海・太平洋沿岸、九州西岸。一方で瀬戸内海にはあまり出現しないのかもしれない。黒潮洗う温帯域のやや深場の岩礁にすむ魚という印象である。海外では朝鮮半島近海、鬱陵島、中国沿岸のほか、台湾にもいるらしいが、琉球列島では見られないようである。おもに釣りで漁獲され食用となるが、全長20cmほどとウスメバルよりも小ぶりで価値はあまり高くはない。魚屋さんでもウスメバルはよく見るのに対し、トゴットメバルはなかなか見られず、産地周辺で消費されることが多いのかもしれない。沿岸域ではほとんど釣れず、船釣りで釣れることがある程度。小さくても味は良好、煮つけや揚げ物などで美味しい。今回のトゴットメバルは和歌山県串本の産。潮崎友泰さん、ありがとうございます。なお私はほかに愛媛県の宇和海などでも見ている。メバルの仲間は岩礁の周りを好んで泳ぐという理由があるため、底曳網ではあまり獲れないのではあるが、トゴットメバルの幼魚は宇和海でも少ないが漁獲されることがある。