魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ヒメアンコウ

2024年09月04日 11時23分30秒 | 魚紹介

久しぶりに魚を購入。食用の魚を購入し送ってもらったのはなんと6月の終わり以来、2か月以上ぶりのことである。購入した魚の一種がこのアンコウ目・アンコウ科・ヒメアンコウ属のヒメアンコウである。

ヒメアンコウ属Lophiodesは日本からヒメアンコウ、エンドウヒメアンコウ、コトゲヒメアンコウ、ミノアンコウ、メダマアンコウ、ハナアンコウ、シモフリハナアンコウといった種が知られている。従来「ノドグロヒメアンコウ」と呼ばれていたものはどうやらヒメアンコウと同種らしく、これまでノドグロヒメアンコウの学名とされていたLophiodes insidiatorという種は日本には分布していないらしい。ヒメアンコウは日本産ヒメアンコウ属としてはもっとも普通に見られる種である。国内では駿河湾~土佐湾までの太平洋岸、東シナ海に分布しており、主に底曳網漁業によって漁獲されている。海外における分布は台湾、フィリピン、インドネシア、ニューギニア、オーストラリア近海にまで及び、水深200m~400mほどの海底に生息する。

ヒメアンコウの背鰭棘

ヒメアンコウの吻上棘先端

ヒメアンコウの特徴は背鰭棘数が6本であることで、これにより日本産のヒメアンコウ属と見分けられるようである。ほかの種は大体が5本であるが、コトゲヒメアンコウでは背鰭棘数が3本しかないため容易に識別できるだろう。ほかに吻上棘の先端の皮弁の形状も種によってだいぶ異なっていて、同定形質となりうる。本種には小さい黒い眼のようなものもついているが、これで甲殻類と間違って寄ってきた生物を捕食するのかもしれない。

 

 

ヒメアンコウの味噌汁

ヒメアンコウもほかの日本産アンコウ科魚類と同様に食用となっている。ヒメアンコウはアンコウやキアンコウほど大きくはならないし、あまり数多く獲れる魚ではないのだが、以前唐揚げにして食べたことがあるが美味であった(その時はノドグロヒメアンコウと同定していた。2013年の記事をご参照のこと)。今回は汁物にして食べた。身はぶつ切りにしたほか、肝・胃・卵巣も汁にいれたがこれもいける。ただアンコウ目の胃については時々胃内容物が腐敗していることもあるため、よく洗ってから汁物にいれるのが望ましい。このヒメアンコウも体サイズに似合わないような、大きめの頭足類を捕食していた。

アンコウ

なお椎名さんは日本産のアンコウ科魚類のうち、アンコウ属とキアンコウ属についてはいずれの種も入手しているが(2属とも日本産は1属1種である)、ヒメアンコウ属についてはヒメアンコウしか入手していない。メダマアンコウ、エンドウヒメアンコウなど冷凍庫で眠っていて邪魔になっているというのであれば有償でも喜んでお引き取りさせていただきますのでよろしくお願いいたします(ただし現実的な値段の場合に限る)。またダルマアンコウ属の魚もまだ入手したことがないので、こちらもヨロシク。なんか久しぶりに魚のぶろぐらしい記事であった。今回のヒメアンコウも「魚喰民族」石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

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