魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

フサカサゴ

2024年09月05日 13時35分35秒 | 魚紹介

昨日に続いて、長崎から台風10号を上手くすりぬけてやってきた魚。スズキ目・カサゴ亜目・フサカサゴ科・フサカサゴ属のフサカサゴである。フサカサゴは実はちょくちょく食べているものの、この「魚のぶろぐ」では紹介できていなかった魚。科や属の標準和名になっている種であるのだが。

フサカサゴの胸鰭

フサカサゴの胸鰭軟条数は15~19と幅が広く17前後が多い。一方イズカサゴでは19~20軟条であることが多く、この点で見分けられる。一方カボチャフサカサゴは16~17軟条で通常16とフサカサゴと被るが、カボチャフサカサゴでは頭部に目立つ小黒色斑が入ることでフサカサゴと見分けられる。日本産フサカサゴ属はほかコクチフサカサゴとクレナイフサカサゴがいるが、前者は体の盛り上がりが低く、その標準和名の通り口が小さい。後者は胸鰭が大きく背鰭12棘条直下を超えるなどの特徴により、フサカサゴと見分けることができる。ただしコクチフサカサゴは千葉県外房以南の太平洋岸、日本海西部、瀬戸内海で見られるが、後者は伊豆で得られているのみというまれな種である。

種の標準和名オニカサゴ

日本でも広い範囲に生息しているフサカサゴ。中深海釣りのターゲットでもある。同属のイズカサゴとともに「鬼かさご」なんて呼ばれているのだが、種の標準和名オニカサゴとはまた別の属である。そのためオニカサゴを紹介しているのに写真はイズカサゴ、なんて事例はよくあることになってしまっている。いずれにせよ、標準和名がわかりにくくなってしまっているのはよくない。標準和名は不変のもののはずなのに。よく「初心者にもわかりやすいように、イズカサゴについても『鬼かさご』と表記しました」なんてウェブサイト管理者が飄々というが、本当は初心者ほど標準和名を重要視するべきだと思う。オジサンなんて、同じウミヒゴイ属のウミヒゴイやオキナヒメジ、ホウライヒメジはもちろんのこと、これらの種とは縁遠いはずのアカヒメジやヨメヒメジでさえもこの名前で呼ぶようなことが頻繁に起こっているのだから、互いによく似ているフサカサゴ、イズカサゴ、オニカサゴを混同してしまっているとどの標準和名がどの魚にあてられるべきなのかわかるはずもないだろう。

フサカサゴの口蓋骨には歯がある(矢印)

オニカサゴ属の魚とイズカサゴ、フサカサゴについては背鰭の形や吻の形状、尾鰭の模様などで見分けられるともされるが、それぞれよく似ている。魚類検索においては口蓋骨に歯があるかないかで見分けることができるとされる。フサカサゴ属には歯があるが、オニカサゴ属には歯はないようである。ただ初心者がこの部分を見てわかるかどうかはちょっと疑問である。ただいちどオニカサゴを見て理解すれば十中八九オニカサゴとフサカサゴ属の魚を間違えることはないだろう。そういうものである。

まあ標準和名の問題は置いておくとして、フサカサゴはカサゴ亜目の中でもとくに美味しいものである。さばくときは当然ながら背鰭・臀鰭・腹鰭にある毒棘に要注意ではあるのだが、身は唐揚げや煮つけ、ブイヤベースなどにして絶品。今回は刺身にしてみたが、ただ刺身にするのではなく、皮目をあぶってみた。これは大正解であった。もともと美味しい魚として知られているが、うまみがそれにより強まる感じ。今後カサゴ亜目の魚を食するときにはこのようにすることが多くなりそう。今回のフサカサゴも「魚喰民族」石田拓治さんより。いつもありがとうございます!


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