しものせき水族館 海響館の紹介の続き。今回はこの水族館の誇るフグ目の展示をご紹介。
入館するといきなりヤバイ魚が登場。フグ科シッポウフグ属のアマミホシゾラフグである。例の海底にミステリーサークルをつくるフグ。今回はこれを見るために福岡から関門海峡を渡る甲斐があったというもの。
クサフグ
釣り人には嫌われるクサフグも水槽でじっくり観察するとその社交性に驚かされるもの。水槽のレイアウトが波打ち際の転石域を再現しているのもすばらしい。実際にこういう環境の場所でよく出会うフグである。
ケショウフグ
色彩は派手ではないのだが迷路のような模様が面白いケショウフグ。英語名マップパファーもこの模様に由来する。モヨウフグ属のフグはその多くが40cmをこえることもあり、家庭水槽で飼育するのには限界がある。こういう水族館での飼育には向いている。
タスジフグ
やはり大型種のタスジフグ。残念ながらこのタスジフグはサザナミフグと他種によるハイブリッドとされてしまった。幻のナガレモヨウフグについても同様である。それにしても体側の模様が面白い種である。サザナミフグも分布が広いが、紅海のものなどは明らかに色彩が異なり、別種と思われるのだが、どうだろう?なお以前この水槽で飼育されていたアラレフグはいなくなってしまった。残念である。
トラフグ
食用魚としておなじみのトラフグ。複数匹入っているので、残念ながら自慢の尾鰭が短くなってしまっている。顔がかわいい。
アカメフグ
これもやはり珍しいアカメフグ。現物を見たのも2012年以来というフグ。「アカメフグなど東京湾では普通種でないか」とおっしゃる人も多いだろうが、東京湾などでいうアカメフグはヒガンフグのことで、毒のある場所も違っている。この水槽ではヒガンフグと思しきフグもいるので、トラフグ属同定ゲームなんていうのをやるのも面白そうだが、これは以前、というか数日前にもこの「魚のぶろぐ」で似たようなネタを書いたような気がする。
ミドリフグ
アクアリストにもお馴染みのミドリフグ。昔はTetraodon属とされていたが現在はDichotomyctere属という別属に変更されている。小さいメタリックグリーンのものがペットショップでしばしば売られているが、このくらいの大きさに育てることができた人は何人いるだろうか。アベニーパファーなどとは異なり、飼育には塩分が必須。海水でも飼育できる。
オーネイトカウフィッシュ
相変わらず外国のフグ科の充実もうれしい。イトマキフグ科・ウシハコフグ属のオーネイトカウフィッシュ。こういうカラフル系のものだけでなくMeuschenia属のカワハギのような地味な種の展示もうれしい限りである。
なおしものせき水族館 海響館は間もなく(11月末日)閉館し、2025年7月にリニューアルオープンの予定だという。リニューアル後の生物展示や研究の展示のさらなる充実を期待したい。フグ目で見てみたい魚が非常に多いのである。具体的な種はソウシハギ・コクテンハギ・キスジイトマキフグ・ベニカワムキ・フエカワムキ・そして国内で初記録となったサンサイフグ。そんなフグが泳いでいる様子をみたい。
帰宅後はすぐに現実に引き戻されることに。土曜日は暑い中12時間も立たされて椎名さんの心は完全におれてしまった。