今日はバケムツの耳石を採取したが、魚体については、体が黒い以外はアカムツによく似ている感じがした。しかし耳石の形状はアカムツとだいぶ異なっていた。さて、ムツシリーズのあとは、クサウオシリーズになるのかもしれない。
スズキ目・クサウオ科・クサウオ属のビクニンという魚である。
クサウオ属の魚は変異個体である(とされる)オーストンクサウオを含めて日本に11種、世界で60種以上が知られる大きなグループ。本種は鼻孔が2対、鰓蓋下端は胸鰭下端よりも下方にある、胸鰭に欠刻がある、尾鰭基底付近に明瞭な白色斑がない、背鰭と尾鰭は尾鰭後半部でつながる、背鰭軟条数45~48、臀鰭軟条数は37~40であることにより、日本産のほかの同属魚類と区別することができる。
尾鰭には縞模様があるが、クサウオにみられる白色斑ほど明瞭なものではない。背鰭や臀鰭と尾鰭がつながり、ウナギ類やアシロなどのような尾鰭となっている。
日本国内での分布域は意外と広く、北海道の各地沿岸から日本海岸では島根県まで、太平洋岸では茨城県あたりまでその姿を見ることができる。海外ではサハリンから朝鮮半島までに分布する。生息水深が広くダイバーが入れるような浅い海から水深数100mの深海にまで及ぶ。底曳網などで漁獲されるが、クサウオの仲間は本種を含め、日本ではあまり食用とされていない。韓国ではクサウオが市場で売られているような写真を見たことがあるが、どのように食するかは気になるところである。今回は標本用としてしまったので、残念ながら食卓にアップすることはできなかった。
今回のビクニンは兵庫県の漁師さんから送っていただいたもの、こうやって魚を送ってくださる方々のおかげで魚を理解することができるのだ。自分だけの力でなく、たくさんの人に支えられてこれまで魚を理解することができたのだ。いつもありがとうございます。クサウオの仲間は種類が多くて難しいが、検索図鑑やインターネットなどの力を駆使し同定できた時にはとてもうれしい気持ちになるのだ。
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