先日我が家にやって来た深場のウツボ科。ウツボ科・ウツボ属のハワイウツボ。名前に「ハワイ」とあり、実際にハワイ諸島にも分布するが、日本でも小笠原諸島、静岡県、和歌山県、沖縄諸島、尖閣諸島などに見られる。国外での分布はハワイ諸島のほか、澎湖諸島、西沙諸島、南沙諸島、インド—西太平洋に見られる。基本的に深場の種で、水中写真も撮影されているものの、水深50~250mほどにすむようである。
眼が黄色いのが特徴的。このハワイウツボによく似たもので、混同されてきたものにオキノシマウツボというのもいるが、このオキノシマウツボは眼が黄色くないようで、同定形質のひとつとして使えるかもしれない。ただし、死後しばらくすると眼が赤みを帯びてしまうので注意が必要だろう。頭部には小さな黒色斑があるのも特徴的だが、このような模様はオキノシマウツボでは確認できず、同定ポイントとなっている。なお1975年の「魚類図鑑 南日本の沿岸魚」に掲載されている「オキノシマウツボ」の写真はハワイウツボである。解説では「ハワイウツボとも。」とあり、当時はこの仲間の分類が混乱していたことがうかがえる。のちの益田・アレンによる「世界の海水魚」ではオキノシマウツボとハワイウツボはそれぞれ別種として扱われているが、オキノシマウツボはGymnothorax sp.とされた。その後1992年にGymnothorax ypsilonという学名がつけられた。
ハワイウツボの特徴として体側の横帯は臀鰭でつながる、というものがあるが、この個体はその特徴がしっかりと現れていた。教科書(日本産魚類検索第三版)通りの斑紋で感動!オキノシマウツボはこの模様がつながっていないようである。
今回の小笠原諸島産のウツボはこのほかにもう1種入っていたのだが、それはまた後でご紹介したい。小型種であるが後程食してみたいと思っている。ということで久しぶりの「魚のぶろぐ」らしいぶろぐ記事であった。今回のハワイウツボはHN「魚のげぼ」さんより。いつもありがとうございます。
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