魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ヒメテングハギ

2023年07月13日 18時46分00秒 | 魚紹介

長崎からやってきたニザダイ科・テングハギ属の大型種。ヒメテングハギ。

「テングハギ属」というと、頭部に巨大なツノをつけたニザダイ科の魚を思い浮かべる。英語名でもこの仲間を「Unicornfish」というが、実際にこの「つの」を有するのはテングハギ、ツマリテングハギ、オニテングハギの雄、そしてこのヒメテングハギくらいである。しかもこれらの魚種でも、小型の個体ではツノは発達しない。

このぶろぐではテングハギ属を何度か紹介してきた。しかし、多くの場合「ツノのない個体」であった。ヒメテングハギも2012年ごろに少し紹介していたのだが、その時も幼魚でツノはなかった。しかし今回ようやく立派なツノをもつヒメテングハギに巡り合うことができた。

ツマリテングハギ

ヒメテングハギとテングハギ、ツマリテングハギの3種の成魚では、ヒメテングハギの成魚は体がもっとも細長いように見える。次いでツマリテングハギ。テングハギはこの3種では最も体高が高い。テングハギの成魚はよい画像を持っていない。各自ググられたし。

ヒメテングハギの尾鰭

ツマリテングハギ尾鰭

一方尾鰭はヒメテングハギは白い明瞭な縁取りがありほかの2種と見分けることができる。ツマリテングハギは尾が白っぽく、尾に太い帯がある感じである。またテングハギは尾の端がよく伸長しているが、ヒメテングハギもテングハギほどではないが少し伸びている。一方ツマリテングハギはほとんど伸びていない。しかし成魚はこれほど違いがあるのに対し、幼魚は3種とも似通っているのでとても厄介である。わからないなら水槽で育てて同定すればいいじゃない、なんていう人もいるが、この仲間は全長70cmになり、しかもよく泳ぐため、残念ながら家庭の水槽での飼育にはまったく向いていない魚である。成魚は水族館レベルの水槽でないとうまく飼いこなせないかもしれない。ただし幼魚は比較的観賞魚店で見ることがあるため、手を出す人がいるのが怖いところである。もっとも巨大化する前に白点病などで殺してしまうことも多いのであろうが。

分布域はインドー太平洋でハワイ諸島にも分布している。日本では琉球列島のほか、関東以南の太平洋岸、日本海岸でも広範囲にぼちぼち見られる。成魚は遊泳性が強いためかなり広い範囲を泳ぐことができるよう。

沖縄では「ばしょーかー」と呼ばれ、この仲間としては高級魚であるテングハギ(ちぬまん)と区別されている。味の方は皮や内臓に近いところに臭みがあるため、これを除くと美味しく食べられる。揚げ物や刺身、カルパッチョなどで食した。

今回のヒメテングハギも長崎県の石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

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ハチジョウアカムツ

2023年07月11日 21時09分59秒 | 魚紹介

今回は1年ちょいぶりに我が家にやってきた魚をご紹介。スズキ目・フエダイ科・ハマダイ属のハチジョウアカムツ。

ハチジョウアカムツは名前に「アカムツ」「ムツ」とあるが、ホタルジャコ科でも、ムツ科ではなくフエダイ科の魚である。3種とも深海性の魚で、シルエットはよく似ているのだが、実際はまったく異なる仲間の魚なのである。

さて、ハチジョウアカムツと呼ばれている魚は最近まで2種が含まれていた。このハチジョウアカムツともう1種、オオアカムツである。オオアカムツも以前記事にしたのだが、その時は「ハマダイ属の一種」とかいう扱いをされていた。学名はついていたのだが、日本において標準和名をもとにした報告がなく、今年(2023年)になってようやくジョンビョル氏らによりオオアカムツの標準和名が付された。オオアカムツは市場価値がハチジョウアカムツよりも高いとされ、その分お値段も高いのである。つまり、手軽に標本を購入することができないのだ。したがってこの仲間は分類群の再整理が遅れていると思われる。南アフリカで「ハマダイ」とされているもののなかにも、怪しいものが含まれている。

ハチジョウアカムツの主鰓蓋骨棘。この棘が尖っているのがハチジョウアカムツである。オオアカムツはこれが丸いので見分けることができる。またオオアカムツは尾鰭上葉の先端が黒いのも特徴である。オオアカムツについては写真を撮影できていないのでまだご紹介できないので、また後日。

ハチジョウアカムツのお刺身。やはり美味しい。

今回は長崎の石田拓治さんより購入。いつもありがとうございます。なお明日は長崎からまた面白い魚が来る予定だが、その前にまだまだ紹介できていない魚がいるので、それからこのぶろぐでご紹介したい。

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スミツキカノコ

2023年07月09日 23時30分17秒 | 魚紹介

久しぶりに我が家に新しい魚がやってきました。キンメダイ目、もしくはイットウダイ目のイットウダイ科・イットウダイ属のスミツキカノコ。

スミツキカノコは種としてはアヤメエビスやクロオビエビスといった種近縁とされる。それは背鰭や臀鰭の基部付近にある暗色斑があることからわかるだろう。ただし、本種がこれらの2種と異なる点として、アヤメエビスやクロオビエビスには銀色と赤褐色の縦帯があるのに対し、本種にはそのような模様が見られないという点である。ただし本種も水中で見ると金色の体に、薄い縦線が入っていて、また水揚げされてすぐの個体も黄色い縦線が多数入っている。ただし時間がたつとやがて写真のような色彩になってしまう。サイズは比較的大きく、この個体は全長240mmに達する。標準体長も196mmというサイズである。本種に近縁なアヤメエビスやクロオビエビスもニジエビスやテリエビスといった種よりも大きめであるが、トガリエビスやクラカケエビスといった種類よりは小さい。

イットウダイ属をふくむイットウダイ亜科の魚の前鰓蓋には大きな棘がある。鋭い棘なので扱いには注意するべきであろう。この棘だけでなくほかにも鋸歯状の細かい棘があるので、こちらにも一応注意。

分布域は東アフリカ~サモアにまで及び、琉球列島でも普通種でありダイビングではよく見られる種である。もちろんそれより北にも分布し、四国南西部では何度か記録されている。私はこの種を採集したことはないのだが、昨年も高知にてHN「ばなんさん」さんが釣っていたものを見せていただいた。

スミツキカノコの刺身。以前この仲間を焼いて食べたが骨が気になった。刺身はかなり美味しい。今回の個体はお久しぶりの長崎市 石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

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チカメキントキ

2023年07月04日 14時34分19秒 | 魚紹介

今回で愛知の魚のご紹介はお終い。今日はキントキダイ科・チカメキントキ属のチカメキントキ。

チカメキントキのこのぶろぐへの登場は、2012年8月以来ということでおよそ11年ぶりの登場ということになる。キントキダイ科の魚は本種のみが含まれるチカメキントキ属のほか、クルマダイ属、キントキダイ属、ゴマヒレキントキ属の4属からなる。チカメキントキ属は原生種は先述のように1属1種であるが、世界中の暖かい海に広く分布している。以前同様に「1属1種であるが世界的に広く分布している」とされたゴマヒレキントキ属は3種に整理され、日本に分布するゴマヒレキントキ属の種はHeteropriacanthus carolinus (Cuvier, 1829)ということになった。一方チカメキントキはいまだに1種が世界的に分布しているとされているが、おそらく別種かもしれない。なおこの場合、日本のものが海外(ブラジルなど)のものと別種となっても、学名の変更はないはず。

チカメキントキをはじめとするキントキダイの中で本種は寸つまりな体、腹鰭の大きさなどからかなり特異な種のように感じられる。ほかのキントキダイは腹鰭がやや小さく、体が細長い。生息地もチカメキントキはやや深い海、幼魚はたまに浅瀬にも出現するのに対し、ほかのキントキダイ科魚類のうちキントキダイ属やゴマヒレキントキ属は浅いサンゴ礁域ややや深い砂地に多く生息している(もっとも、ウスベニキントキのような深海性種もいるが)。生態的にもクルマダイのグループに近縁なのかもしれない。

チカメキントキは煮物、焼き物、ほか様々な料理に使うことができる。しかし個人的に一番美味しいと思うのはやはりお刺身であろうか。ほどよく脂がのった大変美味しい魚であった。今回はキビレミシマやナガタチカマスなどと同様に愛知県 項明水産 鈴木項太さんより。ありがとうございました。次は長崎からやってきたMy新種(まだ私が写真を撮影していなかった種という意味)についてご紹介したいと思う。

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ゆっくり動画の「収益剥奪対策済み」って?

2023年07月02日 14時57分19秒 | 魚類とインターネット
こんちは。昨日から7月です。
 
 
先日、ゆっくり動画の作り方を紹介するサイトを見ていたが、その中に気になる一部分を見つけてしまった。収益剥奪対策済み、って何よ。
このサイトではゆっくり動画を作成するのに必要なものの一つとして、解説するテーマの情報・知識を必要なもののひとつとしてあげているのだが、それの説明は省略されている。
 
で、どんな内容が書かれているのかというと、アクエストークの使い方やら、動画編集ソフトゆっくりムービーメーカー(YMM)の使い方やら、そのYMMを使うためのパソコンのスペックなどは紹介されているのだが、もっと別のものを紹介するべきではなかろうか。
 
収益剥奪対策というのは、どのような手段があるのか、と紹介されたが、それは、
 
背面にフリー画像を挿入する
立ち絵を動かす
 
というものである。またこのサイトの別のページには声にゆっくり動画で使用されているアクエストークではなく、買い切り版のvoiceroidを使って収益剥奪を防ぐというやり方も紹介されているのだが、これらのような小手先の収益剥奪対策を行っても、根本のコンテンツに問題があるならばどんな小手先の対策を行ったところで何も意味はない。何故ならば、youtubeで収益を得るためにはyoutubeから独自のコンテンツとして認められる必要があるからである。残念ながら今のyoutubeには、ゆっくり動画が溢れかえっている。そして同じものを紹介する動画を見ると、ほとんど同じ内容である。これでは独自コンテンツとはいえない。深海魚にしろ、危険な生物にしろ、紹介している内容はほぼ同じ、誇張も激しいクリックベイトというやつもある。
 
テーマについても、wikipediaなどから拾いの、画像も画像サイトから拾いの、であるため、作ろうと思えばYMMをダウンロードして(ただしWindowsのPCに限る)、誰でも作れると言っても過言ではないかもしれない。それは独自コンテンツとはいえないのではないだろうか。
 
結局、さまざまなサイトで語られるゆっくり動画の収益剥奪対策というのは、かつてさまざまなサイトで語られてきた小手先のSEO対策とほぼ同じである。これにより、有象無象の低品質サイトが跋扈することになってしまった。しかし今日、もはやそれらは意味がない。おそらくゆっくり動画は今後、キュレーションサイトや、トレンドブログ、wordpressで作られた有象無象サイトと同じ道を辿るだろう。なお、例によって画像は内容に一切関係がない。
 
●参照サイトーちゃすろぐ(https://chasksite.com)
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