魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

プレ学会2024

2024年09月08日 06時36分50秒 | 水族館・博物館

日本魚類学会の年会のため、福岡市内にお泊り。10日まで県内滞在の予定。昨年のプレ学会ではアリアケギバチに会いに筑後平野でしたが、今年は水族館「マリンワールド海の中道」さんへ。何度か訪問しておりますが、リニューアルオープン後は初でございます。

シロワニ

少し見回る。一巡目はただ何となくみるだけ。その後、みたい水槽をじっくり見るのが私のスタイル。九州沖合の海では4匹のシロワニがお出迎え(というかシロワニって九州にいるのでしょうか・・・??)。ほかにもネコザメ、ドチザメ、アメリカテンジクザメ(ナースシャーク)など地べたにいるサメが多い印象。というかこのアメリカテンジクザメって(略)。

メジロザメ科はかろうじてネムリブカと、頭部以外はメジロザメ科と差がないアカシュモクザメがいたがほかの種がいない・・・。私はメジロザメ科が好き(同定は嫌い)なので残念。じっくりシロワニを観察し、ここで「動脈」さんと合流。マリンワールドを堪能しました。以下みどころをピックアップ。

アリアケギバチとカワムツ

昨年出会ったアリアケギバチさん。今年は水族館で成魚に出会うことができました。かなりの長寿個体なのか、えらい細長い。しかもほかの魚との飼育が難しいアリアケギバチですが、水槽が2mを超えるような巨大なサイズであるためか、他の魚との混泳もできている。具体的な魚種はオイカワ、カワムツ、ムギツク、ヒガイなど。

オオニベ

九州の沖合の水槽における、意外な見どころがオオニベ。まあ、九州の、とくに宮崎方面ではおなじみの巨大魚です。同じ水槽にはスズキもはいっており、スズキがオオニベと付随するシーンもありました。やはりこの2種はよく似ております。動脈さん曰く、「宮崎」特集で、大淀川の巨大魚であるアカメと一緒に飼育されていたものとのこと。日本産のニベ科の魚を水族館で見たのはこれが初めてだったりする。

ヨスジフエダイとベンガルフエダイ

ベンガルフエダイとヨスジフエダイ、そして写真には写っていないものの、ロクセンフエダイが仲良く群れている、九州沖合の海水槽に大興奮。九州沖合の海水槽でも、最後のほうのサンゴ礁水槽においても、3種の姿を見ることができた。

ウメイロモドキ

ウメイロモドキ。この水槽にはユメウメイロもいて比較は容易。タカサゴ科の魚はほかにもクマササハナムロ、タカサゴ、ニセタカサゴ、ササムロと合計6種も泳いでいた。タカサゴ科同定ゲームなんていうのも楽しめそうである。ただこの水槽ではメガネモチノウオやタマカイといった、タカサゴの仲間にとって脅威となる捕食者の姿もちらほらとみられるので、早めに見に行った方がいいのかも?

サザナミトサカハギ

サザナミトサカハギさん。魚名板では「テングハギモドキ」と書かれていたもの。この水槽にはナンヨウハギもいたのですがHLLEがひどすぎて涙。遊泳性が強いため家庭の水槽では飼えないニザダイの仲間も、しっかり飼育可能。

ミナベヒメジ

ミナベヒメジ。オジサンとホウライヒメジとアカヒメジを除くヒメジ科魚類はマイナーだがそういうのを展示してくれるのがありがたい。しかも複数個体入っている。ぎゃくにオジサンは一切入っていなかった。オジサンについては萩沖など山口県日本海沿岸でも確認されている(証拠標本および画像に基づく山口県日本海産魚類目録)とのことで、玄界灘水槽にオジサンが入る日も近いかもしれない。なお、水槽内ではほかにもアカヒメジ、ホウライヒメジの姿が見られた。

ゴボウウツボ

珍しいゴボウウツボ(とされる)。同定ポイントがうまく見れなかったので暫定。やっぱり九州水槽はすばらしすぎます。閉館間際に大人二人でキャッキャッとゴボウウツボを撮影している様子はとても面白かったと思います。

そんなこんなであっという間の閉館時間。最後にゴンドウクジラのぬいぐるみがほしかったのですが結局大荷物で断念しました。その後は博多駅まで移動し、動脈さんとバリカタラーメンを食べてホテルにチェックイン。ありがとうございました。写真は帰ってきたら載せます。

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ホンフサアンコウ

2024年09月06日 12時42分35秒 | 魚紹介

今回の長崎産魚便で一番楽しみにしていたのがこれ。アンコウ目・フサアンコウ科・フサアンコウ属のホンフサアンコウ。従来はたんに「フサアンコウ」と呼ばれていた種。学名はChaunax fimbriatusでヒルゲンドルフが記載。深海性で水深590m以浅の海に生息しているが、まれに水深30mほどの浅瀬からダイバーにより撮影されたこともある。

特徴としては体側に緑色の斑点がなく、背鰭の軟条部前方に浅いくぼみがあること。また、背鰭棘の基部に薄い黄色斑があるのも特徴である。これらの特徴により、ミドリフサアンコウとの識別は難しくはないであろう。体色は褐色で、体には小さな白い毛のような皮弁が生えている。

日本産でもう1種ホンフサアンコウに似ているものにハナグロフサアンコウというのがいる。ハナグロというくらいだから吻部が黒いというわけでなく、見分けは誘引突起のあるくぼみが重要になる。ハナグロフサアンコウは誘引突起のあるくぼみ後端は眼前縁を結ぶ線に達していない。一方このホンフサアンコウでは誘引突起のあるくぼみ後端は眼前縁をむすぶ線を超えるのでハナグロフサアンコウとの見分けはさほど難しくはないだろう。以下にホンフサアンコウとハナグロフサアンコウの頭部の比較写真を掲載する。なお黒い線が眼前縁を結ぶ線であり、白い線が誘引突起のあるくぼみの後端を示す。

ホンフサアンコウの頭部

ハナグロフサアンコウの頭部

ホンフサアンコウのくぼみと眼前縁を結ぶ線の位置関係

ハナグロフサアンコウのくぼみと眼前縁を結ぶ線の位置関係

今回ホンフサアンコウを入手したことにより、日本産フサアンコウ科の魚3種を入手した。日本産魚類検索に出てくる3種すべてそろったことになる。もう1種は近年日本初記録種として報告されたアカフウセンという種で、これは生鮮時体は一様に赤くて斑紋がないため日本産の既知の種と見分けることができる。とりあえず、入手したフサアンコウ科魚類3種をご紹介。

 

ミドリフサアンコウ 三重県尾鷲市 底曳網漁業

 

ハナグロフサアンコウ 沼津市戸田 ヘンテコ深海魚便(底曳網漁業)

 

ホンフサアンコウ 長崎県近海(釣り物?)

このホンフサアンコウは全長364mm、標準体長265mm、重さ1246.5gある大型個体であった。上記の写真の個体よりふたまわりくらい大きい。ハナグロフサアンコウやミドリフサアンコウも体調30cmを超えるというが、このホンフサアンコウも大きく迫力がある。しかしながら生殖腺は発達していなかったため雌雄は不明。しかし肝も胃も大きく内臓も食いごたえがありそうなものであった。まずは肛門からハサミを入れ内臓を出していった後、皮をはぐ。アンコウなどは皮も食べるがホンフサアンコウは皮に小さな棘が密生しているので皮は食べにくい。そのためあらかじめ皮をはがすようにしたいところである。

フサアンコウ科の魚は鍋物、汁物、揚げ物にして美味である。そしてだいたいが、そのような調理法になりがちである。しかし今回は刺身にしてみた。身はやわらかい。決してまずいわけではないが味は比較的薄く、ポン酢などがよく似合う。刺身の上に肝をのせて食べると絶品。

汁物は定番。肝や胃なども入れて美味しく食べることができる。初めて食べるホンフサアンコウを我が家で楽しみまくった。今回のホンフサアンコウも、フサカサゴ&ヒメアンコウと同じく長崎県「魚喰民族」石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

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フサカサゴ

2024年09月05日 13時35分35秒 | 魚紹介

昨日に続いて、長崎から台風10号を上手くすりぬけてやってきた魚。スズキ目・カサゴ亜目・フサカサゴ科・フサカサゴ属のフサカサゴである。フサカサゴは実はちょくちょく食べているものの、この「魚のぶろぐ」では紹介できていなかった魚。科や属の標準和名になっている種であるのだが。

フサカサゴの胸鰭

フサカサゴの胸鰭軟条数は15~19と幅が広く17前後が多い。一方イズカサゴでは19~20軟条であることが多く、この点で見分けられる。一方カボチャフサカサゴは16~17軟条で通常16とフサカサゴと被るが、カボチャフサカサゴでは頭部に目立つ小黒色斑が入ることでフサカサゴと見分けられる。日本産フサカサゴ属はほかコクチフサカサゴとクレナイフサカサゴがいるが、前者は体の盛り上がりが低く、その標準和名の通り口が小さい。後者は胸鰭が大きく背鰭12棘条直下を超えるなどの特徴により、フサカサゴと見分けることができる。ただしコクチフサカサゴは千葉県外房以南の太平洋岸、日本海西部、瀬戸内海で見られるが、後者は伊豆で得られているのみというまれな種である。

種の標準和名オニカサゴ

日本でも広い範囲に生息しているフサカサゴ。中深海釣りのターゲットでもある。同属のイズカサゴとともに「鬼かさご」なんて呼ばれているのだが、種の標準和名オニカサゴとはまた別の属である。そのためオニカサゴを紹介しているのに写真はイズカサゴ、なんて事例はよくあることになってしまっている。いずれにせよ、標準和名がわかりにくくなってしまっているのはよくない。標準和名は不変のもののはずなのに。よく「初心者にもわかりやすいように、イズカサゴについても『鬼かさご』と表記しました」なんてウェブサイト管理者が飄々というが、本当は初心者ほど標準和名を重要視するべきだと思う。オジサンなんて、同じウミヒゴイ属のウミヒゴイやオキナヒメジ、ホウライヒメジはもちろんのこと、これらの種とは縁遠いはずのアカヒメジやヨメヒメジでさえもこの名前で呼ぶようなことが頻繁に起こっているのだから、互いによく似ているフサカサゴ、イズカサゴ、オニカサゴを混同してしまっているとどの標準和名がどの魚にあてられるべきなのかわかるはずもないだろう。

フサカサゴの口蓋骨には歯がある(矢印)

オニカサゴ属の魚とイズカサゴ、フサカサゴについては背鰭の形や吻の形状、尾鰭の模様などで見分けられるともされるが、それぞれよく似ている。魚類検索においては口蓋骨に歯があるかないかで見分けることができるとされる。フサカサゴ属には歯があるが、オニカサゴ属には歯はないようである。ただ初心者がこの部分を見てわかるかどうかはちょっと疑問である。ただいちどオニカサゴを見て理解すれば十中八九オニカサゴとフサカサゴ属の魚を間違えることはないだろう。そういうものである。

まあ標準和名の問題は置いておくとして、フサカサゴはカサゴ亜目の中でもとくに美味しいものである。さばくときは当然ながら背鰭・臀鰭・腹鰭にある毒棘に要注意ではあるのだが、身は唐揚げや煮つけ、ブイヤベースなどにして絶品。今回は刺身にしてみたが、ただ刺身にするのではなく、皮目をあぶってみた。これは大正解であった。もともと美味しい魚として知られているが、うまみがそれにより強まる感じ。今後カサゴ亜目の魚を食するときにはこのようにすることが多くなりそう。今回のフサカサゴも「魚喰民族」石田拓治さんより。いつもありがとうございます!

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ヒメアンコウ

2024年09月04日 11時23分30秒 | 魚紹介

久しぶりに魚を購入。食用の魚を購入し送ってもらったのはなんと6月の終わり以来、2か月以上ぶりのことである。購入した魚の一種がこのアンコウ目・アンコウ科・ヒメアンコウ属のヒメアンコウである。

ヒメアンコウ属Lophiodesは日本からヒメアンコウ、エンドウヒメアンコウ、コトゲヒメアンコウ、ミノアンコウ、メダマアンコウ、ハナアンコウ、シモフリハナアンコウといった種が知られている。従来「ノドグロヒメアンコウ」と呼ばれていたものはどうやらヒメアンコウと同種らしく、これまでノドグロヒメアンコウの学名とされていたLophiodes insidiatorという種は日本には分布していないらしい。ヒメアンコウは日本産ヒメアンコウ属としてはもっとも普通に見られる種である。国内では駿河湾~土佐湾までの太平洋岸、東シナ海に分布しており、主に底曳網漁業によって漁獲されている。海外における分布は台湾、フィリピン、インドネシア、ニューギニア、オーストラリア近海にまで及び、水深200m~400mほどの海底に生息する。

ヒメアンコウの背鰭棘

ヒメアンコウの吻上棘先端

ヒメアンコウの特徴は背鰭棘数が6本であることで、これにより日本産のヒメアンコウ属と見分けられるようである。ほかの種は大体が5本であるが、コトゲヒメアンコウでは背鰭棘数が3本しかないため容易に識別できるだろう。ほかに吻上棘の先端の皮弁の形状も種によってだいぶ異なっていて、同定形質となりうる。本種には小さい黒い眼のようなものもついているが、これで甲殻類と間違って寄ってきた生物を捕食するのかもしれない。

 

 

ヒメアンコウの味噌汁

ヒメアンコウもほかの日本産アンコウ科魚類と同様に食用となっている。ヒメアンコウはアンコウやキアンコウほど大きくはならないし、あまり数多く獲れる魚ではないのだが、以前唐揚げにして食べたことがあるが美味であった(その時はノドグロヒメアンコウと同定していた。2013年の記事をご参照のこと)。今回は汁物にして食べた。身はぶつ切りにしたほか、肝・胃・卵巣も汁にいれたがこれもいける。ただアンコウ目の胃については時々胃内容物が腐敗していることもあるため、よく洗ってから汁物にいれるのが望ましい。このヒメアンコウも体サイズに似合わないような、大きめの頭足類を捕食していた。

アンコウ

なお椎名さんは日本産のアンコウ科魚類のうち、アンコウ属とキアンコウ属についてはいずれの種も入手しているが(2属とも日本産は1属1種である)、ヒメアンコウ属についてはヒメアンコウしか入手していない。メダマアンコウ、エンドウヒメアンコウなど冷凍庫で眠っていて邪魔になっているというのであれば有償でも喜んでお引き取りさせていただきますのでよろしくお願いいたします(ただし現実的な値段の場合に限る)。またダルマアンコウ属の魚もまだ入手したことがないので、こちらもヨロシク。なんか久しぶりに魚のぶろぐらしい記事であった。今回のヒメアンコウも「魚喰民族」石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

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ベッコウハゴロモ

2024年09月02日 22時39分54秒 | 昆虫・クモ

こんばんは。きのうから9月です。先月は栃木県にいきまくり、我が家やその近辺ではなぜかチュウゴクアミガサハゴロモが大発生しており、びっくりしています。ということで今回は2019年に草むらにいた昆虫。同じくカメムシ目ハゴロモ科のベッコウハゴロモ。これもチュウゴクアミガサハゴロモどうように。当時はガ(蛾)の仲間だとおもっていたもの。ガのような昆虫写真を色々調べていて発見した。セミを小さくして翅を大きくしたような昆虫といった感じである。この写真以降は確認していないが、ただ見逃しているだけという可能性もあるだろう。

ということで今月もヨロシク。なお「魚のぶろぐ」ではなく「昆虫のぶろぐ」ではないかというご意見については一切受け付けない。そこんとこよろしく。明日は久々に魚の記事をアップしたいと思っている。

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