私たちは安倍元首相を乗り越えていかなくてはならない。それほどまでに危機は切迫しているからだ。
すぐにでも現行憲法で否定されている「交戦権」を奪還しなくてはならない。そうすることで政治的統一体としての国家を、自分たちの手に取り戻さなくてはならない。戦後の日本が失ってしまった政治的な自由と独立を守る能力を回復することが急務なのである。
カール・シュミットが言うように、自ら敵を決断することができなければ、その決定権は米国に委ねることになってしまうからである。しかも、その米国がもはや頼りないのである。
安倍さんは現行憲法に「自衛隊」という名称を書き入れることで、憲法違反という見方を否定しようとした。しかし、それでは心もとないのである。国家の根本である「交戦権」が認められないのでは、自衛隊は絵に描いた餅でしかない。
現在の日本が直面しているのは、日本に敵対し、分断しようとする国内外の勢力である。我が国の権力を彼らの手に譲り渡すことはできない。もしそうなれば、我が国は絶望のどん底に突き落とされることになるからだ。
しかも、私たちを敵視する勢力というのは、正戦を主張して攻撃してくるのである。日本を徹底的に悪の権化に仕立て上げ、何をしても許されるとの考え方に立脚しているのだ。
米国による広島、長崎への原爆投下は、正義の戦いというプロパガンダがなければ、実行に移すことができなかった。それと同じことが、中国によって行われる可能性が高いのである。
昨日の香港、今日の台湾、そして明日の日本なのである。米国は徐々に東アジアから手を引こうとしている。日本が中国の属国となるか、さもなければ自立した道を選択するかの岐路に立たされている。そのうちの後者を選ぶとすれば、「交戦権」の問題は避けては通れないのである。
安倍さんは日本を取り戻そうとしたが、政治的なリアリズムもあって妥協を強いられた。私たちはその先を目指すべきなのである。