草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

常識を重んじる保守主義は極端な言説を口にしない

2024年11月12日 | 思想家
 自民党と立憲民主党の差がなくなり、新興の保守政党も方向が定まらず混乱している。保守主義という定義すら不明瞭になってしまってはいないか。
 あくまでも保守主義というのは常識を重視する。改革なるものの結果に責任を持てないからであり、混乱することを極度に恐れるからである。選択的夫婦別姓や同性婚に反対するのは、これ以上世の中が混乱すれば、取り返しが付かなくなるからだ。
 ことさら正義を主張しないのである。見通しがないのに、急激な改革を進めたことの失敗は、何度も私たちが経験してきたことではないか。マスコミが囃し立てた政治改革にしても、民意が反映されない小選挙区制度を導入しただけに終わってしまった。
 保守主義はイデオロギーではない。上から目線で人々に説教を垂れることもない。福田恆存の言葉を思い起こすべきだろう。福田は「保守派は無智といはれようと、頑迷といはれようと、まづ素直で正直であればよい。知識階級の人気をとらうなどという知的虚栄心は棄てるべきだ。常識に随ひ、素手で行つて、それで倒れたなら、そのときは萬事を革新派にゆづればよいではないか」(「私の保守主義観」)と書いていた。
 偉そうな御託を並べ立てる者たちは、保守主義とは無縁である。常識的に考えて、極端を嫌うのが保守主義の特長なのである。

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