福島第一原発事故の長期化が避けられなくなった時点で、日本中がパニックになると思われたが、そうならずにすんでいるのは、天皇陛下がおられるからだ。陛下のお姿とお言葉によって、国民がどれだけ励まされたことか。陛下を中心とした日本の国柄というのは、いかに占領憲法によって解体しようとしても、それは土台無理であったのだ。葦津珍彦が『日本の君主制』で書いているように、今の憲法であっても、国民統合の象徴としての天皇の存在は認めざるを得なかった。国民主権が重んじられるようになっても、日本の国柄を根本から否定することはできなかった。国民主権という場合でも、それは多数派の意思が、そのまま国民の意思となることではない。だからこそ、国民の意志としての権威付けが必要になった。葦津にいわせれば「主権者たる国民とは、目に見えない統一的存在であり、目に見える個々の国民は、統治される国民である」との観点から、「天皇が、国民統合の象徴といわれるのは、この目に見えない国民の姿を、目に見える姿で現すのは、ただ天皇御一人に限られるという意味である」。陛下が国会に行かれると、国会議員が敬意を表するのも、そうした法理論に支えられているのだ。古代から連綿と続く日本の国柄があるからこそ、日本人は動揺せずに、結束して今の危機に対処しているのである。
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